2012年6月2日土曜日


(キーワード:ビスホスホネート、顎骨壊死、骨粗鬆症、骨折リスク、FDA諮問委員会、パブリックシチズン)

 ビスホスホネート(※1)は骨吸収抑制作用により、骨量を確実に増加させ一部の骨折(脊椎骨の骨折)を有意に減らすことから国内外のガイドラインで骨粗鬆症治療薬の第一選択となっている薬剤である。ビスホスホネートは破骨細胞の活動を抑制し骨吸収を抑制するが骨形成促進作用はない。従って、骨量が増加し当面の骨折は減少するものの、骨の正常な新陳代謝は阻害される。このため長期間継続すると残った骨は古い骨で占められ、もろくなり骨折しやすくなると考えられる。ビスホスホネートによる疲労骨折(大腿骨の非定型骨折など)と顎骨(あごの骨)壊死は同様の作用機序で説明できる。(※2)

 このようなビスホスホネートの非定型骨折や顎骨壊死のリスクについて、FDAの諮問委員会は使用年数を制限するかどうか、一時的な使用中断を推奨するかどうか検討する会議を2011年9月9日に開催した。以下はその会議で米国パブリックシチズンのメンバーが証言した内容の一部を要約したものである。(パブリックシティズン・ウェブサイト、※3)