2012年5月7日月曜日

隕石 - Wikipedia


隕石(いんせき、meteorite)は、地球以外の天体の小片が地上に落下したものである。「流星が燃え尽きずに地表に落ちたもの」と説明されることもあるが、隕石の起源天体と流星物質の起源天体は必ずしも同種ではないので[1]、正しい表現ではない。

「隕」が常用漢字に含まれていないため、「いん石」とまぜ書きされることもある。

ギリシャ語 meteoron(天上のもの)から。この語源 meteorosは「空中高く」の意の形容詞に由来する。 隕の字は「高所から下に落ちる」という意味で、これをmeteorの訳語に使ったのは宮里正静(明治8年・1875)の隕星石が最初と思われる。その後、明治20年代には隕石あるいは大隕石の語が用いられている。

[編集] 隕石の分類

金属鉄(Fe)とケイ酸塩鉱物の比率で大きく3つに分類される。

[編集] 鉄隕石(隕鉄)

鉄隕石 (iron meteorite )は、主に金属鉄(Fe-Ni合金)から成る隕石である。分化した天体の金属核に由来する。

ニッケル含有比と構造から、ヘキサヘドライト (hexahedrite)、オクタヘドライト (octahedrite)、アタキサイト (ataxite) に大きく分けられる。

オクタヘドライトには、数百万年の時間スケールでの冷却によって生じるウィドマンシュテッテン構造が特徴的な模様として現れる。これはFe-Ni合金の正八面体型結晶構造が出現したものでオクタヘドライトと呼ばれるものの特長である。平均して8.59%程度のニッケル、0.63%程度のコバルト[2]、数ppmの金、白金、イリジウムなどの貴金属も含まれる。また少量のリンおよび炭素などの非金属元素も含まれる。

地域によっては、農具などに利用されていた。稀に、刃物に加工されることがあるが、通常の鋼材と違って焼き入れが難しいため、刃物には向かないとされる。また、日本式の「鍛錬」(詳しくは日本刀を参照)は困難である。

[編集] 石鉄隕石

石鉄隕石 (stony‐iron meteorite )は、ほぼ等量のFe-Ni合金とケイ酸塩鉱物から成る隕石である。分化した天体のマントルに由来する。パラサイト (pallasite) とメソシデライト (mesosiderite) に分類される。


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固体惑星に似た組成の小天体のうち、概ね直径100km以上のものは内部が融解し得ると考えられている。小天体の内部で融解が生じれば、重力によって成分分離が起こり、密度の大きい金属が中心に集まって核となり、これをより密度の小さい岩石質の物質が包んでマントルとなる。このような小天体が、相互衝突などによる何らかの外力を受けて破壊されたものが、隕石として地表に落下してくる天体小片であると考えられる。中心核が鉄隕石であり、マントル部が石質隕石である。小天体の中心核とマントルは明瞭な境界があるのではなく、境界領域では金属鉄と岩石が混在する。これが石鉄隕石の起源物質であると考えられている。

トロイライトと呼ばれる鈍い金属光沢を持つ硫化鉄鉱物を伴うことが多い。

[編集] 石質隕石

石質隕石 (stone meteorite) は、主にケイ酸塩鉱物から成る隕石である。球粒状構造のコンドルール (chondrule) があるコンドライト (chondrite) と、ないエイコンドライト (achondrite) に大きく分けられる。

コンドライトは未分化の天体、エンコンドライトは分化した天体の地殻に由来する。月隕石、火星隕石などはエンコンドライトに含まれる。

[編集] 日本の保有する隕石

日本は国土が狭いため、国内に落下が確認された隕石の数はそれほど多くない。隕石と認定されたものは50個ほどである。日本の隕石のうち最古のものは、861年5月19日(貞観3年4月7日)に福岡県直方市に落下し、須賀神社に保存されている直方隕石(0.472kg)である。これは、落下記録が残っている隕石で、現存するものとしては世界最古のものである(従来は1492年11月7日にアルザスのエンシスハイム(Ensisheim)に落下したエンシスハイム隕石(127kg)だった[1])。

南極地域観測隊が1969年にやまと山脈のふもとに集積していた9個の隕石を採集したことに端を発し、その後、南極の特定の、ある条件を満たした場所(基本的には山脈のふもと)に隕石が集積するシステムが明らかになり、現在まで16,700個(極地研より)の隕石を発見・回収した結果、日本は世界で二番目に多くの隕石を保有する国となった。南極で発見された隕石の大半は国立極地研究所の南極隕石研究センターが保管しており、分類と研究が進められている。


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[編集] 隕石の命名

慣行として、落下地点における配達を受け持つ(郵便区とする)集配郵便局の名がつけられる[3]。隕石が落下中に分解した場合、最も質量の大きい破片が落下した地点を郵便区とする郵便局の名がつけられる。

郵便局の名にすることにしたのは、発見者の名をつけることにした場合、誰が発見者かが争われる場合があるためである。隕石はどこに落ちるか分からず、例えば砂漠の只中に落ちた場合、その地域を管轄する警察署や消防署は存在しない場合がある。しかし、その地域を郵便区とする郵便局だけは、どこの国でもほとんどの場合は存在する。このため、配達受け持ち郵便局の名を隕石の名とすることが世界的な慣行になっている。

同一郵便区内に2個以上の異なる由来の隕石が落下した場合、(a)、(b)、(c)とアルファベットの符号をつけて区別する。フォレスト隕石などはアルファベットでは足りないため、数字で区別される。

[編集] 南極の隕石の命名

南極で発見された隕石は、総称して南極隕石と呼ばれる。南極隕石は同じ地点で大量に発見されるため、特別な命名がなされる。

日本の南極地域観測隊がやまと山脈で発見した隕石は、総称してやまと隕石(Yamato meteorites)と呼ばれる。当初は命名規則どおり、(a)、(b)、(c)などの符号をつけて識別していたが、数が膨大になったため、現在は「やまと75105」(Yamato 75105, Y-75105)などと番号で呼ばれる。5桁の数字の上2桁は発見年を示し、残りの3桁はその年に発見された隕石の通し番号を示している。この隕石はやまと山脈で1975年に発見された105番目の隕石であることを意味している。

同様に、あすか基地周辺で発見された隕石は Asuka (A-)、アランヒルズ周辺で発見された隕石は Allan Hills (ALH-) と名づけられる。

この命名は、正式な命名規則が決定するまで、暫定的に国際的に認められることになっている。

[編集] 隕石発見時に行う手続き

隕石は落下時に、地球の重力によって激しく分解され、大気との断熱圧縮(摩擦)で激しく発熱する。このとき隕石表面が融け、溶融殻(Fusion crust)が出来る。この溶融殻があるかないかが最も簡単な隕石の見分け方であろう。しかし、一般に隕石かどうかの判定は専門家でないと困難である。また、落下直後ならば見つけやすい。屋根を突き破って落ちてきたり、木の枝が折れていて下に見慣れない岩石があったときは隕石である可能性が高い。また、火球が観測された翌朝に発見されることも多い。


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しかし、実際に隕石が発見されるのは極めて稀である。山中や川原などで隕石のように見える石を見つけても、ほとんどは地球上に存在する鉱物、岩石、もしくは鉄鉱石を人間が加工した人工物である。

いずれにしても鑑定するには大学の研究室やそれに類する研究機関に送付する必要がある。実際の鑑定としては、落下直後ならば、隕石中に含まれる放射性核種の壊変(崩壊)に伴う放射線の測定。また、酸素同位体測定、希ガス同位体測定などの同位体比測定は地球上の物質と地球外物質を区別することが出来る強力な手段である。しかし、これらの測定は破壊分析のため用いる試料が微量(数μg~数mg)必要となる。隕石は大気圏突入前まで宇宙線に曝されているため、エネルギーの高い宇宙線による隕石構成元素の核破砕反応によって26Alなど様々な核種が生成される。これらには当然放射性核種も含まれる。中には極めて短寿命の放射性核種も存在するため、落下直後(数時間以内)に測定を行うことは、核宇宙化学にと� �て非常に重要である。

隕石と称して岩石を売る業者(国内外問わず)があるが、本物である可能性は極めて低い。これも鑑定が困難なことに起因している。

日本では、一般に、最初に拾い上げた人物が所有権を主張することができるとされる。ただし、私有地において見つけた(拾い上げた)場合、地面にめり込んでいるかいないかで所有権が分かれ、埋まっている場合は、土地の所有者の物とされ、埋まっていない場合、拾い主に権利がある。この場合の私有地は山や、空き地ではなくアパートなどの共同で使用する場所である。土地の所有者が真剣に所有権を主張した場合、この限りではない。

海外では、隕石や化石の国外への持ち出しを禁じている国もあるので、海外で隕石や化石を手に入れた場合はその国の法律を確認し、注意して取り扱う必要がある(海外で業者から購入する場合も同様)。

[編集] 隕石に纏わる地名

日本では、隕石を信仰していた例もある。このため、地名などにその名が散見される。


  • 隕石の落下に纏わる物
    • 星崎(愛知県名古屋市南区星崎)
      • 星宮社は、舒明天皇の時代(629年 - 641年)にこの地へ星が降り、それを祭るために創建されたといわれる。8世紀、13世紀にもこの地方に隕石が落ちたという言い伝えがある。星宮社から南西700mほどにある喚續神社の記録では、寛永9年8月14日(1632年9月27日)の午前0時過ぎ、南野村に隕石が落ちた。石は喚續神社へ寄進され長く社宝として祀られていた。1976年に国立科学博物館の村山定夫によって隕石と確認され、南野隕石と命名される。現在は国立科学博物館に所蔵され、日本で2番目に古い隕石とされている。
    • 星田(大阪府交野市星田)
    • 妙見山 (能勢)
      • (970年以前の)昔、大阪府豊能郡能勢町稲地に大きさ手まりほどの星が天降り、村民達が恐れて巫女の口を借りて尋ねた。『我は北辰大菩薩なり。国土守護のためこの地に降りた。清浄な地に移し、一心に祈念すれば、諸願成就せしめん』このようなお告げに村民は喜び、早速、当時「東の高嶽」と呼んでいた 後の妙見山となる山に隕石・御神体を移しお祀りした。落下位置から東南8km程の妙見山(豊能郡能勢町野間中(の)字)にて今でも祀られ 関西一の妙見菩薩信仰の場となっている。その星(隕石)の天降ったと言われる所には今でも「元妙見」としたお堂が建てられ、代々平田姓の家が守っている。
    • 美星(岡山県井原市美星町星田)
    • 星居山(広島県神石高原町阿下)
      • 孝徳天皇の時代の大化元年(645年)元日の夕方に一帯を真昼のごとく照らし流星が落ちる事象が長く続いたので、この評判を聞いた天皇はこの年の8月、自らも星居山へ行幸し体験、「星ノ居山」と命名。
    • 槻之屋(島根県雲南市木次町)
    • 星岡町・天山町(愛媛県松山市星岡町・愛媛県松山市天山町)
      • 天から山が降ってきた地とされ、円状に5つの岡が並んでいる。「世々を経て 幾代になりぬ 久方の 天下りけん 星岡の山」との歌も伝えられている。
    • 星之浦(愛媛県今治市大西町)
    • 星原町(愛媛県新居浜市星原町)

今ではイスラム教の聖地であるカアバ神殿の御神体は、もともと「月からの隕石」であると伝えられていた。


  1. ^ 渡部潤一他編 『シリーズ現代の天文学9 太陽系と惑星』 p.140, p.163-164、日本評論社、2008年、ISBN978-4-535-60729-3
  2. ^ Brown and Patterson,J.Geol.56,87,1948.
  3. ^ 日本では、2007年10月の民営化以降郵便局が配達を行う事はなくなったため、配達業務を行う郵便事業の支店や集配センターの地名を以て替えるものと解釈できるが、民営化以降の隕石落下事例が無いためどのように命名されるかは不明。

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

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