温泉知識
温泉知識
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●非火山性温泉−深層地下水型−
地下では、深度が深くなるほど地温が上昇し、一般的に100mごとに温度が約3℃ずつ上昇すると言われています。これを地下増温率と呼んでいます。例えば、地表の温度が15℃と仮定すると、地下増温率によって一般的には地下1000mの地温は45℃、1500mでは60℃となります。また、マグマが冷えた高温岩帯と呼ばれる高温の岩石が地下にあるケースがあります。降水の一部が地中にしみ込んだ地下水が、高温岩帯や地下増温率による地熱を熱源として温められたものが、非火山性温泉の深層地下水型と考えられています。温泉が湧出する機構や泉質は、火山性の温泉と同様と考えられています。
●非火山性温泉−化石海水型−
太古の地殻変動などで古い海水が地中に閉じこめられている場� �があります。これを化石海水と呼んでいます。火山や高温岩帯が無い地域で、化石海水が地表から数百メートルにある場合には、地下増温率でそれほど高温にはなりません。水温が25℃未満でも、化石海水は塩分を多量に含んでいるので、温泉法で規定した温泉に該当します。また、海に近い地域においては、現在の海水や地下水が化石海水に混入しているケースもあります。
●その他の非火山性温泉
現行の温泉法では、規定された成分が一種類でも一定量以上含まれていれば、泉温が25℃に満たなくても温泉となります。したがって、深層・浅層を問わず、ボーリングなどによって地中から湧出した時の水温が25℃未満のものでも、規定された成分が一定量以上含まれていれば温泉法上の温泉となります。なお、このような温泉の場合、含有される成分によっては泉質名が付けられないものもあります。
蝶はすべての大陸に住んでいない
「温泉法・別表」 ※温泉法の全文はこちら | ||
1 | 溶存物質(ガス性のものを除く) | 総量1,000r以上 |
2 | 遊離二酸化炭素(CO2) | 250mg以上 |
3 | リチウムイオン(Li+) | 1mg以上 |
4 | ストロンチウムイオン(Sr++) | 10mg以上 |
5 | バリウムイオン(Ba++) | 5mg以上 |
6 | 総鉄イオン(Fe++,Fe3+++) フェロ又はフェリイオン | 10mg以上 |
7 | 第一マンガンイオン(Mn++) | 10mg以上 |
8 | 水素イオン(H+) | 1mg以上 |
9 | 臭素イオン(Br-) | 5mg以上 |
10 | ヨウ素イオン(I-) | 1mg以上 |
11 | フッ素イオン(F-) | 2mg以上 |
12 | ヒ酸水素イオン(ヒドロヒ酸イオン)(HAsO4--) | 1.3mg以上 |
13 | メタ亜ヒ酸(HAsO2) | 1mg以上 |
14 | 総硫黄(S) (HS+S2O3--H2Sに対応するもの) | 1mg以上 |
15 | メタホウ酸(HBO2) | 5mg以上 |
16 | メタケイ酸(H2SiO3) | 50mg以上 |
17 | 炭酸水素ナトリウム(NaHCO3) | 340mg以上 |
18 | ラドン(Rn) | 百億分の20キュリー単位以上 |
19 | ラジウム塩(Raとして) | 1億分の1mg以上 |
■PH(potential of hydrogen)
水素イオン濃度(1違うと10倍、2違うと100倍違う)を示すもので酸性、アルカリ性を数字で表したもの。ph7が中性、ph7以下で酸性、ph7以上でアルカリ性となる。水道水はph7、人間の皮膚はph5.5〜6と言われている。
(デジタルPH計)
温泉を液性によって分類できるのである。 | |
○酸性 | ph3未満 |
○弱酸性 | ph3以上、6未満 |
○中性 | ph7.5未満 |
○弱アルカリ性 | ph7.5以上、8.5未満 |
○アルカリ性 | ph8.5以上 |
■浸透圧
温泉の浸透圧は実際に測定されることはなく、溶存物質総量または、温泉の凝固点(氷点)によって分類される。溶存物質総量とは、鉱水1Kg中に含まれているガス性のものを除いた物質の総量のことで、温泉分析書では、陽イオンと陰イオンと非解離物質の総合計となる。ちなみに、成分総計とは、鉱水1Kg中に含まれている物質の総量のことで、ガス状のものを含みます。従って、溶存物質総量(陽イオンと陰イオンと非解離物質の合計)にガス成分(遊離二酸化炭素、遊離硫化水素など)の量を合計した値となる。現行の温泉法では、泉温が25℃未満でも鉱水1Kg中に溶存物質(ガス性のものを除く)総量が1g以上あれば、温泉と規定している。また、1978年に改正された「環境庁鉱泉分析法指針」によ� �て、規定される療養泉の分類上、大きな意味を持ち、溶存物質(ガス性のものを除く)総量が1g以上あれば、塩類泉としての泉質名が付けられ、泉質名決定の上で重要。
○低張性 | 等張液より浸透圧が低いもの(溶存物質総量8g/s未満) | 氷点0.55度以上 |
○等張性 | 等張液と同じ浸透圧を持つもの(溶存物質総量8〜10g/s) | 氷点0.55度未満、0.58度以上 |
○高張性 | 等張液より浸透圧が高いもの(溶存物質総量10g/s以上) | 氷点0.58度未満 |
【温泉の泉質区分】 ※環境省・自然環境局・鉱泉分析法指針(平成14年4月)参考
掲示用新泉質名 | 旧泉質名 | 新泉質名 | 特徴(効能についてはこちら) |
単純温泉 | 単純泉 | 単純温泉 アルカリ性単純温泉 どのような材料にエメラルドが形成され | 泉温が25℃以上で、温泉水1s中に含有成分が1000mgに満たないもの。pH8.5以上のものをアルカリ性単純温泉と呼んでいる。単純温泉とは成分が単純なのではなく、含有成分の量が薄いものをいう。従って、他の泉質と主成分や副成分が異なっても成分が薄いので単純温泉という。 即ち、食塩泉型の単純温泉もあれば、重曹泉型の単純温泉もある訳である。日本ではもっともポピュラーな温泉。無色透明、湯が柔らかく刺激が少ないので石鹸なども使用できる。この泉質に名湯が多い。含有物質が少なく、刺激が弱いので、高齢者でも安心して入浴できるほか、病後回復期や外傷後の療養などによい。高血圧、動脈硬化、神経症を含めて万病に効くとされる。ただし、先程述べたとおり、成分が区々であるため、効能は異なる。関東山地周辺の、東丹沢、山梨県北東ぶ、秩父地方などにまとまりがある。この他にも、岐阜県・下呂温泉、長野県・鹿教湯温泉、群馬県片品川流域、栃木県那珂川から茨城県奥久慈に広く散在している。多くの温泉地にみられる泉質です。成因的なことはほとんど分かっていない。 |
二酸化炭素泉 | 単純炭酸泉 | 単純二酸化炭素泉 | 温泉水1s中に遊離炭酸1000mg以上を含むものです。入湯すると全身に炭酸ガスの気泡が付着するので「泡の湯」ともいわれている。また「心臓の湯」といわれ、毛細血管を広げて血圧を下げる効果がある。冷鉱泉や低温泉が多いが、保温効果があるので湯上がり後も身体はポカポカだ。飲むと清涼感があり、胃腸病によい。わが国には比較的少ない泉質で、泉温の高いものは大分県の長湯温泉が有名です。泉温の低いものは山形県・肘折温泉郷の黄金温泉などに見受けられます。飲用すると炭酸の爽やかな咽越しが楽しめます。 |
炭酸水素塩泉 | 重炭酸土類泉 重曹泉 | カルシウム (・マグネシウム)− 炭酸水素塩泉 ナトリウム−炭酸水素塩泉 | 温泉水1s中に含有成分が1000mg以上あり、陰イオンの主成分が炭酸水素イオンのものです。陽イオンの主成分により、ナトリウム−炭酸水素塩泉やカルシウム−炭酸水素塩泉、マグネシウム−炭酸水素塩泉などに分類されます。入浴すると皮膚に塩分が付着し保温効果が高いといわれる。また無色透明なアルカリ性の湯が、皮膚の角質をやわらかくして脂肪分や分泌物を洗い流し、しっとりとした肌になる。湯冷めしにくいので「熱の湯」と呼ばれることが多い。飲用すれば、痛風、慢性胃炎、胆石に効き、入浴すれば、リウマチやじんましん、糖尿病などに効く。 南関東のとくに東京湾西部に集中しているのはいわゆる黒湯で、化石海水型に含められている。群馬県南部にもやや似た泉質の温泉が分布している。内陸の炭酸水素塩泉(ナトリウム−炭酸水素塩泉:旧泉質名で「重曹泉」と呼ばれていたもの)は、和歌山県・川湯温泉と白馬・小谷温泉にまとまっていて、アルカリ性が強いのが特徴だが、成因はよく分かっていない。南アルプスや奥飛騨の山岳地の温泉は表層の地下水である。 |
塩化物泉 | 食塩泉 | ナトリウム−塩化物泉 | 海沿いの塩化物泉 温泉水1s中に含有成分が1000mg以上あり、陰イオンの主成分が塩素イオンのもの。日本では多く見られる泉質で、陽イオンの主成分により、ナトリウム−塩化物泉、カルシウム−塩化物泉、マグネシウム−塩化物泉などに分類される。塩分が主成分となっているので、飲用すると塩辛く、塩分濃度が濃い場合は苦く感じられる。単純温泉と並んで、最も数の多い温泉。保温効果が高く、「熱の湯」ともいわれる。温泉名に「塩」とつくところはほとんどがこの泉質である。浴用では関節痛、筋肉痛などの症状を和らげ、飲用では胃腸病に効果がある。 関東平野南東部と房総半島、常磐の海岸、伊豆半島東岸(熱海温泉など)、新潟平野、富山平野、石川県・片山津温泉など。これらには海岸温泉と化石海水型の両方が存在している。 |
内陸の塩化物泉 温泉水1s中に含有成分が1000mg以上あり、陰イオンの主成分が塩素イオンのもの。日本では多く見られる泉質で、陽イオンの主成分により、ナトリウム−塩化物泉、カルシウム−塩化物泉、マグネシウム−塩化物泉などに分類される。塩分が主成分となっているので、飲用すると塩辛く、塩分濃度が濃い場合は苦く感じられる。単純温泉と並んで、最も数の多い温泉。保温効果が高く、「熱の湯」ともいわれる。温泉名に「塩」とつくところはほとんどがこの泉質である。浴用では関節痛、筋肉痛などの症状を和らげ、飲用では胃腸病に効果がある。 群馬県西部から上越地域、それと新潟−会津に塩化物泉がまとまっている。おもにグリーンタフ型の温泉。箱根、塩原、吾妻には火山性の塩化物泉がある。 | |||
硫酸塩泉 | 純硫酸塩泉 正苦味泉 芒硝泉 石膏泉 | 硫酸塩泉 マグネシウム−硫酸塩泉 ナトリウム−硫酸塩泉 カルシウム−硫酸塩泉 | 温泉水1s中に含有成分が1000mg以上あり、陰イオンの主成分が硫酸イオンのもの。陽イオンの主成分により、ナトリウム−硫酸塩泉、カルシウム−硫酸塩泉、マグネシウム−硫酸塩泉などに分類される。苦味泉ともいい、日本では「傷の湯」「中風の湯」と呼ばれることが多い。便秘や胆道疾患に効く芒硝泉、鎮静効果に優れ高血圧や動脈硬化の予防になる。硫酸塩泉の分布は遍在している。箱根、蓼科、那須、吾妻にあるのは火山性のものだが、分布範囲は広くない。それよりも、カルシウム−硫酸塩泉(旧泉質名で「石膏泉」と呼ばれていたもの)は、伊豆半島(天城湯ヶ島温泉)、群馬県北西部(法師温泉)、新潟−会津に広いまとまりがあり、グリーンタフ型の温泉である。山梨県にも散在しているが、その成因は� �かっていない。 |
含鉄泉 | 鉄泉 炭酸鉄泉 緑礬泉 | 鉄泉 鉄(U)−炭酸水素塩泉 鉄(U)−硫酸塩泉 | 旧泉質名の鉄泉と緑ばん泉にあたる。温泉水1s中に総鉄イオン(鉄Uまたは鉄V)を10r以上含有するもの。陰イオンによって炭酸水素塩型と硫酸塩型に分類される。鉄分を多く含んでおり保温効果が高い。鉄泉は、鉄分が多く浴用・飲用ともに貧血症や更年期障害に効果がある。流出時は透明だが空気に触れると次第に褐色に変化する。「眼の湯」といわれる緑ばん泉は、皮膚や粘膜を引き締める収れん作用が強く、慢性の皮膚疾患や結膜炎といった、慢性の粘膜疾患に効果がある。手足の多汗症や静脈瘤にも効果を発揮する。含鉄泉は、兵庫県・有馬温泉などでみることができる。 |
含. アルミニウム泉 | 含.明礬・緑礬泉 など | アルミニウム・鉄(U)− 硫酸塩泉 含鉄(U)− アルミニウム−硫酸塩泉 | 温泉水1s中に含有成分が1000mg以上あり、陰イオンとして硫酸イオン、陽イオンとしてアルミニウムを主成分とするもの。アルミニウム・鉄(U)−硫酸塩泉(旧泉質名で「明礬泉」と呼ばれていたもの)は、群馬県・万座温泉などにみられる。 |
含.銅−鉄泉 | 含銅・酸性緑礬泉 など | 酸性−含銅・鉄(U)−硫酸塩泉 | |
硫黄泉 | 硫黄泉 硫化水素泉 | 硫黄泉 硫黄泉(硫化水素型) 何は、花崗岩が骨折させる | 温泉水1s中に総硫黄1r以上含有するもの。単純硫黄型と硫化水素型に大別され、日本では比較的多い泉質である。卵の腐ったような匂いと白濁したお湯が特徴で療養効果が高く万病に効く温泉として知られる。毛細血管を広げ、血圧を下げる作用があり、浴用、飲用ともに療養効果は高い。温泉治療に適した泉質である。特有の臭いは、硫化水素によるものである。とくに長野県北部にまとまって分布していて、有名な温泉が多数ある。栃木県・日光湯元温泉、神奈川県・箱根温泉郷の小涌谷温泉などの温泉地でも見られる。グリーンタフに関係しているとも、花崗岩に関係しているともいわれているが、成因はいまいち解明できていない。奥多摩地域、南アルプスにも散在している。吾妻周辺のものは火山性の硫化水素型である� �� |
酸性泉 | 単純酸性泉 | 単純酸性泉 | 温泉水の中に多量の水素イオンを含有しているもの。多くの場合は、遊離の硫酸や塩酸の形で含まれ、強い酸性を示す。ヨーロッパ諸国では殆ど見られない泉質だが、わが国では各地でみることができる。 「直しの湯」「仕上げの湯」といわれる殺菌効果の高い温泉。水虫、湿疹など、慢性の皮膚病によく効くが、肌にしみるような強い刺激があり、湯ただれを起こすことがあるので注意。世界を代表する強酸性の温泉として、秋田県・玉川温泉、群馬県・草津温泉などがある。 |
放射能泉 | 放射能泉 | 単純弱放射能泉 単純放射能泉 含弱放射能〜泉 含放射能〜泉 | 温泉水1s中にラドンを20(百億分の1キュリー単位)以上含有しているもの。古くから万病に効く温泉と知られる。痛風、糖尿病、リウマチ、循環器障害、神経痛に効くとされ、飲用すれば尿結石などにも効く。俗にラジウム泉とも呼ばれる。岐阜県の東濃地区に集中している。放射性元素に富む花崗岩の分布と一致している。関東周辺ではまとまった分布はないが、山梨県増富温泉、鳥取県・三朝温泉や、新潟県栃尾又はなかなか良い泉質で有名。放射能というと人体に悪影響を及ぼすと考えがちですが、ごく微量の放射能は、むしろ人体に良い影響を与えることが実証されている。 |
※ 温泉は様々な成分が複雑に入り交じっているので、中には泉質を特定できない温泉も存在する。また源泉ごとにそれぞれの特徴を持っているし、例えば北海道の登別温泉や大分県の別府温泉郷のように、何種類もの泉質がある温泉地もある。したがって、1つの温泉地でも、泉質を特定することが難しいケースが多い。
【天然温泉表示マークについて】
昭和51年に社団法人日本温泉協会が制定した、温泉法に規定された本当の温泉を示すマークがあります。日本温泉協会ではこのマークの制定にあわせて、「天然温泉表示看板」もつくりました。この看板は、旅館・ホテル・公衆浴場などの温泉が、温泉法の規定により利用許可を受けた天然の温泉であることを表示するものです。そして、日本温泉協会は200� �年6月18日静岡県熱海市で開かれた総会で、温泉旅館・温泉施設・湯質をミシェラン方式(星の数1〜5)で評価することになりました。協会加盟の約2000の温泉旅館・ホテルに温泉で導入する予定です。放流式や循環式なども記載した看板を表示するとのことです。星の数は、泉質・効能・湯量・湯の交換頻度・浴槽の衛生状況など十数項目で審査され、湯を加熱・加水したり、循環していれば減点となるという事です。現在のところ対象は、要望している(つまり施設に自信のある)旅館・ホテルに限られるそうですが、この流れ、広まって行ってもらいたいものです。日本人は医薬効能が高いことから温泉の治癒力を深く信仰していますが、高度成長期に団体客向け温泉旅館が林立し、過剰汲み上げによる源泉湧出量の減少や枯� ��などが頻発したため数多くの温泉場が循環方式へと移行しています。利益を追求し、温泉が自然資源であることを無視した乱掘や、1987年に成立した総合保養地域整備法(リゾート法)や1988年の「ふるさと創生」事業の1億円ばらまきによる「一町一湯」ブームにより、循環方式に頼らざるを得なくなったのも事実です。源泉を大切にしてきた温泉場では、医学の進歩した今日でも難病を癒すために訪れる人々が多くいます。源泉を大切にし、入湯客にも親切な温泉場は、その多くが湯治場の温泉であり、循環方式の心配がありません。湯治客が訪れなくなった温泉場は、団体向けの循環方式に移行した温泉であり、医薬効能がない公衆浴場であるという実体をはっきりと私達自身が認識する必要があります。
1948年に 公布された温泉法は、湧出口の源泉の温度や成分により温泉か否かを定義していますが、源泉がそのまま100%浴槽に満たすことを前提にした時代のままであり、ほとんど改正されずに今日に至っています。現在の温泉は、掛け流し方式・循環方式のいずれであるかを利用客や宿泊客にほとんど情報公開していません。循環方式の場合は客に分からないようにし、掛け流し方式であるかのように客が錯覚させている温泉場も多いと聞きます。これだけレジオネラ感染症が社会問題化している現在、法改正して、温泉の浴槽の情報開示を行なうべきではと考えます。
【続・天然温泉表示マークについて】
さて、神奈川県内でも、日本温泉協会・日本天然温泉審査機構によって、認定された施設を発見しました。平塚� �「太古の湯」と「やまと温泉」です。星の数は3つとなったようです。
【続・続・天然温泉表示マークについて】
2005年9月から、サイコロ図案化となり、利用源泉に関する項目(3項目)と浴槽の温泉利用に関する項目(3項目)計6項目について5段階で表示している。県内で認定された施設を発見しました。平塚の「太古の湯」です。
【温泉の禁じ手】
温泉には禁忌がある。そもそも温泉療法とは、泉温・泉質・水圧などの刺激に対するカラダの順応反応を利用するところにあるので、反応を起こし得ないような消耗状態、逆に過敏状態にある場合は適さないのである。すなわち、発熱時・すべての急性疾患・進行期および重症状態・妊娠初期と後期などの場合は、温泉浴に適さない。また、高血圧症・動脈硬化症・心臓病・呼吸器病・高齢者の場合は、42度以上の高� �浴を避ける。さらに、泉質により薬理作用が異なるので、自分の症状にあった温泉を選ばないと逆効果となるおそれがある。
【泉質の禁忌】
■硫黄泉は、皮膚の過敏な人、特に光線過敏症の場合は避ける。
■硫黄泉、硫化水素泉は、高齢者で皮膚が乾燥している人は避ける。
■塩化物泉(食塩泉)ナトリウム炭酸水素塩泉(重曹泉)ナトリウム硫酸塩泉(芒硝泉)の場合、高血圧症、腎臓病その他一般にむくみのある人は、多量に飲用しない。
■二酸化炭素泉(炭酸泉)、硫黄泉、硫化水素泉は、下痢をしている時は飲用しない。
■ヨウ素を含む泉質の場合、甲状腺機能昂進症の人は飲用しない。
■泉質が重複している場合はそれぞれに該当させる。
【入浴の心得】
温泉に入った後はぐっすり眠れる。これは、さっぱりスッキリといった心理効果だけでなく、前述した刺激によりかなりのエネルギーを消費しているためである。例えば、40度の湯に20分間の入浴すると、約200キロカロリーを消費する。すなわち、温泉の刺激に対する十分な受入態勢が必要なのである。
■入浴前には30〜60分の休憩をとる。
■貧血状態を招きやすい空腹時、消化不良を招きやすい食事直後の入浴を避ける。飲酒直後の入浴は事故の元。
■温泉に入る際は、十分にかけ湯、かぶり湯をし体をお湯に慣らす。かけ湯の順番は下肢から上肢、最後に頭から湯をかぶるのが望ましい。
■入浴後は肌に付いた湯を洗い流さず、タオルで押さえる程度にする。これは温泉成分の肌への浸透を妨げないためである。ただし過敏肌の場合は、湯ただれを起こしやすいので適宜洗い流す。
【赤ちゃんと温泉】
一般的に、温泉などには1歳を超えてから行った方が好ましいかと言われています。しかしこれは施設側の思惑もあります。お風呂の中でおしっこやうんちをする可能性が高いから嫌がるのです。うちの子は大丈夫という自身のある方は、施設側が乳幼児OKならば以下の点に注意して入浴にチャレンジしてあげてみてください。ちなみに我が家では8ヶ月で伊東温泉(塩化物泉)で温泉デビューさせました。
赤ちゃんが、「温泉」と言う環境に適応する事が難しいと言う点も、好ましくない理由の1つです。温泉は比較的熱い場合が多いのですが、赤ちゃんにとっての適温は38度前後です。温泉の温度には注意する必要があります。赤ちゃんを� �れられるのであれば、数分以内の入浴とし、入浴前後には、水分補給をしっかりとする事が必要かと思います。また、赤ちゃんの肌はとても敏感です。温泉の成分を調べておくのも大切です。有名で効能のある温泉ほど成分が強いからNGです。単純泉なら無味無臭であるし、肌の弱い赤ちゃんでもOKでしょう。ただし大人でも入浴にはかなりのエネルギー(40度のお湯に20分間の入浴で、なんと約200キロカロリーを消費!)が必要です。ですから、誤った入浴法は危険ですので以下の点にご注意を!
【入浴】
■入浴前と後は十分な休憩をとってあげる。
■温泉に入るときは、十分にかけ湯をして体をお湯に慣らしてあげる。(体を綺麗にと言う事は勿論、貧血や急激な血圧の変化の防止に)
■空腹時の入浴は� �けてあげる。
■食事直後の入浴は避けてあげる。(温泉の刺激により皮膚表面に血液が集中し、胃が食物の消化に必要とする血液が届かず消化不良の原因に)
【回数の目安】
■乳幼児、高齢者、体の弱い方……1日1〜2回
■健康な大人でも1日3回
【時間の目安】
■ぬるめのお湯……5分程度
【入浴後】
■温泉の成分が肌に浸透するので洗い流すと成分が体内に吸収されないのですが、赤ちゃんの肌はデリケートです。やはり洗い流してあげた方がよいでしょう。大人でも「ゆただれ」をおこしやすい人(特に強酸性泉や硫化水素泉の場合は注意)は、真水湯で洗い流しましょう。そうそう、首都圏では循環式の温泉が一般的で、このタイプの温泉では、レジオネラ菌による集団感染や死亡事故が繰り返されおり、厚生省の指導が強化されたことにより塩素剤投入による消毒が一般化していますので、真水湯で洗い流すことが必要です。
【飲用】
■これは赤ちゃんにはNGです。大人でも注意が必要です。
■温泉は含有成分の 働きにより飲泉を許可されている場合があります。しかし全ての温泉が飲泉に適しているわけではありません。時間によって成分が変化したり、腐ったりするので家へ持ち帰って飲用するのも好ましくありません。なお、飲泉設備のある温泉には必ず許可表示があるのでよく確認しましょう。(温泉飲用許可済証:温泉の成分・禁忌症・飲泉の注意事項掲示表)がそれです。
私達が注意していても、施設側の不備によって起きる問題もあります。
【レジオネラ感染症について】
最近の新聞ネタ(社会問題化)にもなっています。浴槽に源泉の湯だけを満たし、あふれた分は使い捨てる掛け流し方式(完全換水型浴槽)ならばその危険性は少ないのですが、体の垢や髪の毛、ゴミなどを濾過し消毒薬剤を投入して湯を使い� �す循環式では、その危険性が問題となっています。循環式は、管理や加熱が容易なことや湧出量が少なくても効率的に浴槽に湯を満たすことができるので、循環方式の温泉が急増しています。残念ながら最近の施設では完全換水型浴槽は存在しないのではないかと思います。
■レジオネラ症ってどんな病気?
レジオネラ症は、レジオネラ属菌が原因で起こる感染症です。急激に重症になって、死亡することがあるレジオネラ肺炎と、数日で自然に治ることが多いポンティアック熱に分けられます。レジオネラ肺炎は、乳幼児や高齢者、病人など抵抗力が落ちている人や、健康な人でも疲労などで体力が落ちている人などが、発病しやすいといわれています。ポンティアク熱は頭痛、発熱、筋肉痛、関節痛、下痢などの症状であるのに対し、ポンティアク熱は高熱、悪寒、筋肉痛、吐き気、意識障害などの症状を呈します。重症例では適切な治療が行われないと7日以内に死亡してしまいます。
■レジオネラ属菌とは?
レジオネラ属菌は、土の中や河川、湖沼など自然界に生息しています。アメーバなどの原生動物に寄生し、20度〜50度で増殖します。普段の生活の中では、クーリングタワーの冷却水や循環式浴槽水など、水が停滞する場所で多く検出されます。レジオネラ属菌は塩素で殺菌消毒できますが、ヌルヌルの中にいるものには効き目がありません。厚生労働省は、平成13年9月11日に「循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル」を発令しました。ただしこの厚生労働省の省令には罰則規定がないので、個々の施設でこの規則が守られているとは限りません。心配な人は下記の事項を温泉、温水プール、公衆浴場で聞く必要があるかと思います。公的施設なら回答してくれるはずです。
1) 循環式浴槽か完全換水型浴槽(掛け流し方式)ですか?
2) 何日に1回、お湯を取り替えていますか?消毒薬は何を使用してますか?
3) 何日に1回、消毒していますか?
4) レジオネラ菌の検査はいつ実施しましたか?
5) レジオネラ菌の数値はどの位でしたか?
■どのように感染するの?
レジオネラ症は、レジオネラ属菌に汚染された、目に見えない細かい水滴(エアロゾル)を肺に吸い込むことにより感染します。エアロゾルは、打たせ湯、ジェットバス、ジャグジーなどで発生します。レジオネラ症は、人から人へは感染しません。
■感染の予防対策は?
公衆浴場・温泉など
レジオネラ属菌は、薬剤(塩素消毒、オゾン殺菌又は外線殺菌による消毒)で殺菌することができますが、温泉、薬湯など消毒薬の効きにくい浴槽水やヌルヌルのできやすい岩風呂で増殖する場合が見られます。赤ちゃんや高齢者は、シンプルな白湯に入り、体調の悪いときは入浴をひかえましょう。また、レジオネラ属菌は、エアロゾルの吸い込みによってだけでなく、脳卒中で倒れた拍子に、浴槽水が肺に入って、感染した事例も報告されています。浴場内では、つまずかないように注意し、日頃から健康管理に努め、自分自身を守りましょう。乳幼児が一緒の場合は、絶対に目をはなさないようにしましょう。
家庭風呂
毎日お湯を取り替え、浴槽や排水溝、洗 面器などはブラシで洗うことが大切です。ヌルヌルしたところには、レジオネラ属菌が繁殖している場合があります。掃除の時は窓を開け、定期的に消毒しましょう。ジェット風呂や24時間風呂を設置している場合には、適正な維持管理と換水をしましょう。
【レジオネラ感染症の事例】
2000年 3月:静岡県掛川市のリゾート施設で温泉利用の循環式風呂で、24人が肺炎になり2人死亡。
2000年 4月:山形県大江町の温泉利用の入浴施設で、2人感染。
2000年 6月:茨城県石岡市の「ふれあいの里・ひまわりの館」の入浴施設で、42人が感染し3人死亡。
2000年 7月:名古屋市の大学病院の24時間風呂で、1人感染し死亡。
2001年12月:板橋区内の銭湯で入浴中の77歳の男性が薬湯で感染し、レジオネラ肺炎で死亡。
2002年 2月:JR東日本などが栃木県喜連川町で分譲した温泉付き住宅地「フィオーレ喜連川」で温泉供給
設備の貯湯漕から国の基準の約800倍に当たるレジオネラ菌が検出され、同社は温泉の供給を停止。
2002年 8月:宮崎県日向市の第三セクターが運営する温泉施設「日向サンパーク温泉」でレジオネラ菌の集団感染し、6人死亡。(8/16現在)
同施設が浴槽からあふれた湯を回収するタンクの清掃を怠っていたらしい。
この他、新聞や雑誌に報道されていないものも含めると多数の事例があると思われます。
【ラドン温泉について】
●ラドンとはラジウム【天然】元素より放出される、ほとんど化合物をつくらない安定希活性の気体である。
●ラドンは自然界に存在する物質中で、もっとも強力なイオン化作用〈物質につきあたるとその物質にイオンを与える作用、別名電離作用〉を有するものである。ラドンの適当量が温浴中に人体の呼吸により肺り直接血液中に、また皮膚を通して組織内に吸収されると、その強力なイオン化作用が人体の血液および組織内に働いて血液内の老廃物質、すなわち血液を悪くしたり血管を早く老化させる中性脂肪、コレステロール、過剰な糖分等の生理的代謝作用が促進されるため、血液が浄化されると同時に組織内に停滞している凝りや、� ��みの原因となっている老廃物の化学反応が促進されて、すみやかに消退してゆくとともに、血液や組織内に熱エネルギーが発生しますので体温上昇の生理調整が行なわれる結果として、入浴開始後十分位で急激な発汗作用が起こり、快い温感を覚える。
ラドン開発事業団 日本温泉医学研究所 | |||
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【温泉偽装問題について】
2004年6月に週刊ポストが掲載した、長野県・白骨温泉の入浴剤利用である。元々は乳白色の源泉が、1996年頃から薄くなる問題が一部の施設で発生した。そこで、乳白色の湯船を作り出すために、入浴剤の利用が始まったという。2004年8月には、群馬県・伊香保温泉の一部旅館で風呂に水道水を利用しているにも関わらず温泉利用と称していたことが発覚。続いて群馬県・水上温泉でも一部旅館で同様の事実が発覚する。これらの温泉では入湯税の徴収も行っていた。一連の問題は、以下に分類される。
・入浴剤利用
・水道水利用
・極端な加水
・源泉の無断開発
これ以降、それまで源泉に関する法� ��であった温泉法が2005年2月24日に改正され、温泉分析書への湯船での利用形態を掲示義務が生じ、温泉利用施設はそれを掲示する必要性が発生した。温泉法で定められた開示すべき利用形態は、
循環の有無
加水の有無
加温の有無
入浴剤利用の有無
消毒薬利用の有無
である。
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