紫外線ベースのDNAイメージサイメトリーを用いたinvitroでの癌の検出及び/又は診断方法|詳細 - Astamuse(アスタミューゼ)
以下の情報は、出願公開日時点(2009年12月03日)のものです。
0001
本発明は、細胞核の核酸の紫外線吸光度を測定することにより、ヒト又は動物の細胞の核内における細胞核の核酸の量をin vitroで決定する方法に関する。
0002
本発明は、細胞核の核酸の紫外線吸光度に依拠した、生物学的試料内の癌性の細胞をin vitroで検出する方法にも関する。
0003
本発明は、さらに、in vitroでのヒト又は動物の対象における癌を診断及び/又は予測する方法に関し、当該方法は、細胞核の核酸の紫外線吸光度に基づいている。
0004
癌の早期発見は、癌患者を治療することにおいて鍵となる要点である。生物学的試料内の癌性の細胞を検出する、従って、実在する癌を診断する、又は、少なくとも将来癌にかかるという見込みを推定するといった種々の可能性が存在する。これらの種々の取り組みには、癌組織の理学的検査、癌性の細胞の形態学的特徴づけ、膜及び核等の細胞構造体の免疫組織化学染色並びに特徴づけ、腫瘍特異的因子の発現の測定等が含まれる。
0005
癌性の細胞を検出するという1つの可能性は、核DNAの量を測定して通常のDNA量との偏差を検出する、いわゆるDNAサイメトリーである。突然変異誘発性の事象の結果としての細胞が、非癌性、すなわち、「健康」又は「正常」タイプの細胞として知られる既知の標準的な細胞よりも少ない又は多いDNAを含んでいる場合、このDNA量における偏差は、重大な染色体再構築、従って進行中の癌発生を示し得るということが想定される。
0006
従って、核酸特異的染色による核DNAの定量化は、癌診断という状況において、研究用途でも臨床用途でもますます慣例になってきている。
0007
フローサイトメトリー又はイメージサイトメトリーによる核DNA量の測定は、とりわけ(i)DNAに結合した染料の量は存在するDNAの量に比例する、及び、(ii)放出、吸収、又は伝導による染料から生じる光学信号は染料の量に比例するという想定に基づいている。
0008
DNAイメージサイトメトリーにより核DNAを測定するという目的に対して一般的に使用される1つのDNA特異的染色法は、フォイルゲン(Feulgen)とロッセンベック(Rossenbeck)の名にちなんだ、単にフォイルゲン反応と呼ばれる場合が多い、酸塩基反応である。実際に、フォイルゲン反応は、DNAが酸により加水分解され、遊離のアルデヒド基を有する、プリン塩基なしのDNA(すなわち、いわゆるアプリン酸、APA)を生じる発色反応である。次に、遊離のアルデヒド基に共有結合的に結合する染料を含有したシッフ試薬と反応させる。
0009
フォイルゲン反応はDNAに特異的だけれども、種々の欠点を有している。フォイルゲン反応は時間のかかる反応で、むしろ、再現性及び意味のある結果を生じるために、注意深く制御及び確認する必要がある複雑な反応である。プリン塩基の除去において一般的に使用されるHClがAPAをより小さな断片に加水分解するという事実から1つの問題が生じる。しかし、APA分子の断片化により、これらの断片は細胞核から除去され、従って、染色可能なDNA物質は失われる。
0010
従って、確実に、癌性の細胞を検出する、及び、癌を診断するために、形態学的特徴づけと免疫組織化学染色とDNA染色との組合せに依拠するという試みが、当技術分野において実行されてきた。
0011
米国特許第2004/0197839 A1号は、癌性の細胞を同定するための2種類の染料の併用を開示しており、1つの染料は、例えば、形態学的特徴を検出するのに対して、第2の(免疫学的な)染料は、例えば、腫瘍特異的マーカーの発現を測定する。
0012
しかし、信頼ができて迅速且つ能率的な、核DNAの量を測定する、並びに、癌性の細胞及び癌を検出する手段を可能にする方法が引き続き必要である。
0013
細胞の核内にある核酸の量を決定する方法を提供することが、本発明の目的である。これらの核酸は、DNA等、二重鎖であり得る。
0014
検査されることになる生物学的試料において癌性の細胞の存在を検出する方法を提供することも、本発明の目的である。
0015
ヒト又は動物の対象における癌の存在、及び/又は、起こりそうな癌の発生の診断を可能にする方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。
0016
上記の目的を達成するために、独立項において定義された方法が提供される。本発明の好ましい実施形態のうちいくつかは、特に従属項において見ることができる。
0017
本発明の一実施形態によると、少なくとも1つの生物学的試料内に存在する少なくとも1つの細胞における、核DNA等の細胞核の核酸の量をin vitroで決定する方法が提供され、当該方法は:
(a)前記細胞内の核の位置及び/又は大きさをin vitroで決定するステップ、
(b)ステップ(a)で決定された前記核の境界線内の紫外線吸光度をin vitroで決定するステップ、
を含む。
0018
1つの例証的な実施形態において、前記核の位置及び/又は大きさは、紫外線及び/又は位相差顕微鏡法を用いることにより前記少なくとも1つの細胞において(おおよそ)決定することができる。紫外線がステップ(a)において使用される場合、波長が約240nmから約280nmの紫外線を使用することが好ましい。特に好ましいのは、約250nm、255nm、又は260nm等の波長である。
0019
別の例証的な実施形態では、ステップ(b)において紫外線吸光度を測定するために、約240nmから約280nmという波長の紫外線が使用される。特に好ましいのは、約250nm、255nm、又は260nm等の波長である。
0020
さらに別の実施形態では、前記少なくとも1つの細胞内にある二重鎖核酸と相互作用することができる少なくとも1つの蛍光マーカーに前記少なくとも1つの細胞を接触させることができ、次に、ステップ(b)において、紫外線吸光度によって、細胞核の二重鎖核酸に結合している前記少なくとも1つの蛍光マーカーの細胞核信号強度を決定する。この最終段階まで、例えば約240nmから約280nmの波長を有する紫外線を使用することができる。
0021
しかし、本発明の他の例証的な実施形態において、例えば免疫組織化学染色、フォイルゲン反応等の化学反応、又は、蛍光マーカーにより、前記細胞のDNA等、前記細胞核の核酸を可視化する必要はない。
0022
このように、本発明の方法は、細胞内の核の位置及び/又は大きさを決定する、並びに、前記核の境界線内の紫外線吸光度を決定するという基本概念を実現する種々の実施形態を含む。核の境界線を決定することに相当する核の位置及び/又は大きさを決定することに対して、可視光線を用いた位相差顕微鏡法、並びに、紫外線を用いた検出法を使用することができる。核の紫外線吸光度を決定することに対しては、二重鎖核酸と相互作用することができる蛍光マーカーを加えることなく、単に紫外線測定に依拠することができるか、又は、そのようなマーカーを使用することができる。
0023
このように、原理的には、位相差顕微鏡法を用いて細胞核を局在化し、上記のマーカーを用いることなく核の紫外線吸光度を決定することができる、位相差顕微鏡法を用いて細胞核を局在化し、上記のマーカーを用いて核の紫外線吸光度を決定することができる、紫外線吸光の測定を利用し、核を局在化して上記のマーカーなしで細胞核紫外線吸光度を測定することができる、並びに、紫外線吸光の測定を利用し、核を局在化して上記のマーカーで細胞核紫外線吸光度を測定することができる。
0024
その例証的な実施形態のうち2つの実施形態において、本発明は、位相差顕微鏡法を用いた細胞核の局在化、及び、上記のマーカーを用いた核の紫外線吸光度の決定に関すること、又は、紫外線吸光の測定を利用した、核の局在化、及び、上記のマーカーを使用しない細胞核紫外線吸光度の測定に関することである。これら2つの実施形態は、以下においてさらに詳細に記述される。しかし、使用されることになる好ましい波長、マーカーの性質、検出装置等、特定の態様がこれら2つの実施形態の状況において取りあげられた場合、他に明白に示されていない限り、これらの説明が上記の本発明の他の実施形態に同等に適用されるということは当業者には明らかである。「細胞」、「癌性の細胞」、「試料」、「異数性」等の用語の定義� ��、当然ながら、他に示されていない限り本発明の種々の実施形態を通して同じ意味を有している。本発明により構想された種々の方法も、同じ目的のために使用することができる。
0025
本発明の1つの例証的な実施形態において、細胞内のDNA等、細胞核の核酸の量を決定するための上記の方法を使用して、少なくとも1つの生物学的試料内の少なくとも1つの癌性の細胞をin vitroで検出することができる。
0026
上記の方法のさらなる実施形態において、細胞核信号強度と呼ぶこともできる細胞核紫外線吸光度を使用して、細胞の倍(異)数性状態を算出することができる。
0027
これは、非癌性の種類であると知られる、細胞核DNAの内容物が既知である細胞に対して実質的に類似又は同一の条件のもと得られた細胞核紫外線吸光度に、得られた細胞核紫外線吸光度を参照することにより行うことができる。
0028
本発明のさらに別の実施形態において、2又は4から少なくとも10%はずれた異数性状態は、癌性の細胞を示しているとみなされる。
0029
本発明の1つの実施形態において、上記の、細胞内のDNA等、細胞核の核酸の量を決定する方法を使用して、少なくとも1つの生物学的試料内の少なくとも1つの癌性の細胞を検出する。その細胞は、白血病、リンパ腫、脳癌、脳脊髄の癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、子宮頸癌、子宮癌、卵巣癌、腎臓癌、口腔癌、咽喉癌、食道癌、肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、及びメラノーマを含めた群から選択される癌に関連づけられる。
0030
本発明のさらに別の実施形態において、上記の、細胞内のDNA等、細胞核の核酸の量を決定する方法は、生物学的試料の少なくとも1つの細胞の上で行われ、その生物学的試料は、骨髄細胞、リンパ節細胞、粘膜試料、末梢血試料、脳脊髄液試料、尿試料、浸出液試料、穿刺吸引液、末梢血擦過物、皮膚擦過物、パラフィン包埋組織、及び、凍結切片を含めた群から選択される。
0031
本発明のさらに別の実施形態において、上記の特徴を有した、生物学的試料内の癌性の細胞を検出する方法は、紫外線吸光度信号、並びに、任意選択で位相差信号を検出、測定、及び算出することができる顕微鏡を使用する。好ましい実施形態では、共焦点レーザ走査顕微鏡が使用されるであろう。
0032
前述の方法のうち全ての方法において、核を検出して細胞核紫外線吸光度を測定するために、所定の単一波長を有する(紫外)光線に依拠することができる。
0033
本発明の別の実施形態において、in vitroでのヒト又は動物の対象における癌を診断及び/又は予測する方法が提供され、当該方法は:
(a)前記対象から生物学的試料を提供するステップ;
(b)in vitroで、前記試料のうち少なくとも1つの細胞内の核の位置及び/又は大きさを決定するステップ;
(c)ステップ(b)で決定された核の境界線内の紫外線吸光度をin vitroで測定するステップ;
(d)ステップ(c)で得られた細胞核信号強度から、前記少なくとも1つの細胞の倍数性状態を算出するステップ;並びに、
(e)前記倍数性状態に応じて、癌の存在及び/又は今後起こりそうな癌の発生を決定するステップ;
を含む。
0034
本発明による診断方法は、細胞内の核の位置及び/又は大きさを決定する、並びに、前記核の境界線内の紫外線吸光度を決定するという基本概念を実現する種々の実施形態も含む。核の境界線を決定することに相当する核の位置及び/又は大きさを決定することに対して、可視光線を用いた位相差顕微鏡法、並びに、紫外線を用いた検出法をここでも使用することができる。核の紫外線吸光度を決定することに対しては、二重鎖核酸と相互作用することができる蛍光マーカーを加えることなく、単に紫外線測定に依拠することができるか、又は、そのようなマーカーを使用することができる。
0035
前記診断方法は、ここでも主に2つの例証的な実施形態、すなわち、位相差顕微鏡法を用いて細胞核を局在化し、上記のマーカーを用いて核の紫外線吸光度を決定すること、又は、紫外線吸光の測定を利用し、核を局在化して上記のマーカーなしで細胞核紫外線吸光度を測定することに関して記述されるが、使用されることになる好ましい波長、マーカーの性質、検出装置等、特定の態様がこれら2つの実施形態の状況において取りあげられた場合、他に明白に示されていない限り、これらの説明が上記の本発明の他の実施形態に同等に適用されるということを当業者は理解するであろう。「細胞」、「癌性の細胞」、「試料」、「異数性」等の用語の定義は、当然ながら、他に示されていない限りこれら本発明の種々の実施形態を通して� ��じ意味を有している。
0036
当然ながら、特定の波長又は特定種類の顕微鏡を用いる等、上記の態様は、診断の状況において同等に適用される。
0037
このように、1つの例証的な実施形態において、前記核の位置及び/又は大きさは、紫外線及び/又は位相差顕微鏡法を用いることにより前記少なくとも1つの細胞において(おおよそ)決定することができる。紫外線がステップ(b)において使用される場合、波長が約240nmから約280nmの紫外線を使用することが好ましい。特に好ましいのは、約250nm、255nm、又は260nm等の波長である。
0038
本発明のさらに別の実施形態では、ステップ(b)において、前記少なくとも1つの細胞内の核の位置及び/又は大きさは、単に位相差顕微鏡法によって決定される。
0039
別の例証的な実施形態では、ステップ(c)において紫外線吸光度を測定するために、約240nmから約280nmという波長の紫外線が使用される。特に好ましいのは、約250nm、255nm、又は260nm等の波長である。
0040
さらに別の実施形態では、前記少なくとも1つの細胞内にある二重鎖核酸と相互作用することができる少なくとも1つの蛍光マーカーに前記少なくとも1つの細胞を接触させることができ、次に、ステップ(c)において、細胞核の二重鎖核酸に結合している前記少なくとも1つの蛍光マーカーの細胞核信号強度を決定する。この最終段階まで、約240nmから約280nmの波長を有する紫外線を使用することができる。
0041
前記診断方法の別の例証的な実施形態において、例えば免疫組織化学染色、フォイルゲン反応等の化学反応、又は、蛍光マーカーにより、前記細胞のDNA等、前記細胞核の核酸を可視化する必要はない。
0042
蛍光マーカーが使用されることになる場合、上記及び下記の同じ種類のマーカーを1又は複数の細胞に接触させることができる。
0043
本発明のこの態様におけるさらに別の実施形態は、前述の特徴を含んだ方法を用いたin vitroでのヒト又は動物の対象における癌を診断及び/又は予測する方法に関し、2n又は4n(nは染色体の数)から少なくとも10%はずれた倍数性状態は、癌性の細胞、従って、癌の存在、又は、(今後)起こりそうな癌の発生を示している。
0044
当然ながら、前記診断方法に関することであるこれらの本発明の態様に対して、上記と同じ試料から生物学的試料を選択することができる。
0045
従って、記述された診断方法により診断及び/又は予測された癌を、上記と同じ群の癌から選択することができる。
0046
本発明のさらに別の実施形態において、ヒト又は動物の対象における癌を診断及び/又は予測する方法は、紫外線吸光度信号、蛍光信号を検出することができ、任意選択で、位相差の目的に対して使用することができる顕微鏡を使用する。核の位置及び/又は大きさ、並びに、細胞核紫外線吸光度の決定に対しては、共焦点レーザ走査顕微鏡を使用することが好ましい。
0047
DNAサイトメトリーによる癌性の細胞の同定は、一般的に、フローサイトメトリー又はイメージサイトメトリーを用いて実行される。
0048
ICMと呼ぶこともできるDNAイメージサイトメトリーの場合には、DNAを可視化するために、DNAはマーカーで染色される。その後、一般的に異数性と呼ばれるDNAの量における変化、又は、構造的染色体異常を使用して、癌性の細胞の存在を検出する。それは、異数性が、すでに実在している癌性の状態、又は、発生している移行期の癌性の状態の特徴であるとみなされるためである。従って、DNA異数性の検出は、癌性の細胞を検出することによる早期且つ敏感な癌の診断を可能にし、その診断は、組織診の形態学的及び組織学的特徴づけより何年も前に進められる場合が多くある。
0049
しかし、上記のように、フォイルゲン染色法等の確立されたDNA発色反応は、面倒で時間がかかる。
0050
本発明者等は、細胞核DNAの量、従って、細胞の倍数性状態をin vitroで決定するのに、免疫組織化学染色、蛍光マーカー、又は化学反応も必要でないことを意外にも発見した。
0051
その代わり、本発明者等は、細胞内の核の位置及び/又は大きさ/境界線が決定されると、単に紫外線に依拠して前記核による紫外線吸光度を決定することができるということを発見した。次に、決定された紫外線吸光度を使用して、細胞の細胞核DNA含有量又は倍数性状態を算出することができる。これらの発見は、約240nmから約280nmの好ましい波長を有した紫外線を使用する場合に特に適用される。
0052
本発明者等は、以外にも、生物学的試料内の癌性の細胞を検出するというDNAイメージサイトメトリーベースの方法において、細胞内にある二重鎖核酸に特異的に相互作用する能力がある蛍光マーカーも使用することができるということをさらに発見した。
0053
このように、一実施形態における本発明は、少なくとも1つの生物学的試料に存在する少なくとも1つの細胞の細胞核の核酸の量をin vitroで決定する方法を対象としており、当該方法は:
(a)in vitroで前記細胞内の核の位置及び/又は大きさを決定するステップ、
(b)ステップ(a)で決定された前記核の境界線内の紫外線吸光度をin vitroで測定するステップ、
を含む。
0054
概説したように、基本的には、核の位置及び/又は大きさ、従って、境界線の決定を可能にするいかなる方法もステップ(a)において使用することができる。そのような例の1つは、位相差顕微鏡法である。しかし、ステップ(a)において、約240nmから約280nmの好ましい波長の紫外(UV)線のみを使用することが好ましい。ステップ(a)及び(b)において特に好ましい波長は、約250nm、255nm、又は260nmである。
0055
位相差顕微鏡法を使用する場合、1または複数の細胞を前記又は下記の蛍光マーカーの1つに接触させることにより、細胞核紫外線吸光度、すなわち細胞核信号強度を決定することが好ましい。
0056
しかし、本発明の他の例証的な実施形態において、細胞を蛍光マーカーに接触させることにより細胞核の核酸の可視化に寄与する必要はない。
0057
そのような方法を使用して、とりわけ個体又は種のゲノムサイズを決定することができる。当然ながら、そのような方法を使用して、少なくとも1つの生物学的試料内の少なくとも1つの癌性の細胞を検出することもできる。これは、得られた細胞核紫外線吸光度を、同じ手法を用いて分析された非癌性の細胞の細胞核紫外線吸光度と比較することにより行うことができる。
0058
提示されたように、本発明の方法は、細胞内の核の位置及び/又は大きさを決定する、並びに、前記核の境界線内の紫外線吸光度を決定するという基本概念を実現する種々の実施形態を含む。核の境界線を決定することに相当する核の位置及び/又は大きさを決定することに対して、可視光線を用いた位相差顕微鏡法、並びに、紫外線を用いた検出法を使用することができる。核の紫外線吸光度を決定することに対しては、二重鎖核酸と相互作用することができる蛍光マーカーを加えることなく、単に紫外線測定に依拠することができるか、又は、そのようなマーカーを使用することができる。
0059
物質は、細胞を入力した内容
このように、原理的には、位相差顕微鏡法を用いて細胞核を局在化し、上記のマーカーを用いることなく核の紫外線吸光度を決定することができる、位相差顕微鏡法を用いて細胞核を局在化し、上記のマーカーを用いて核の紫外線吸光度を決定することができる、紫外線吸光度を測定し、核を局在化して上記のマーカーなしで細胞核紫外線吸光度を測定することができる、並びに、紫外線吸光度を測定し、核を局在化して上記のマーカーで細胞核紫外線吸光度を測定することができる。
0060
その例証的な実施形態のうち2つの実施形態において、本発明は、位相差顕微鏡法を用いた細胞核の局在化、及び、上記のマーカーを用いた核の紫外線吸光度の決定に関すること、又は、紫外線吸光の測定を利用した、核の局在化、及び、上記のマーカーを使用しない細胞核紫外線吸光度の測定に関することである。これら2つの実施形態は、以下においてさらに詳細に記述される。しかし、使用されることになる好ましい波長、マーカーの性質、検出装置等、特定の態様がこれら2つの実施形態の状況において取りあげられた場合、他に明白に示されていない限り、これらの説明が上記の本発明の他の実施形態に同等に適用されるということは当業者には明らかである。「細胞」、「癌性の細胞」、「試料」、「異数性」等の用語の定義� ��、当然ながら、他に示されていない限り本発明の種々の実施形態を通して同じ意味を有している。本発明により構想された種々の方法も、同じ目的のために使用することができる。
0061
本発明の実施形態のうちのいくつかがさらに詳細に記述される前に、以下の定義が導入される。
0062
本明細書において、及び、添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数名詞は、何か他に明確に述べられていない限りその名詞の複数形も含む。従って、「マイクロキャリアビーズ」という用語は、1を超えたマイクロキャリアビーズ、すなわち、2個、3個、4個、5個等のマイクロキャリアビーズを含むことができる。
0063
本発明の状況において「約」という用語は、問題における特徴の技術的効果を依然として確実にすると当業者は理解するであろう精度の差を意味している。その用語は、一般的に、+/−10%、好ましくは+/−5%という示された数値からの偏差を示している。波長の状況において「約」という用語は、1.5%、好ましくは1%、最も好ましくは0.5%の偏差に関している。
0064
本発明の目的に対して、「in vitro」という用語は細胞の分析を意味しており、前記細胞はその自然環境から単離され、ヒト又は動物の体外で調査される。
0065
本発明の目的に対して、「癌性の細胞」という用語は、いかなる細胞、細胞組織、又は、細胞からなる器官にも関し、当該細胞の一部又は全てが、染色体の複製、欠失、挿入、転座等の結果として、非癌性の細胞に対して決定された細胞核DNAの量からはずれた細胞核DNAの量を含んでいる。
0066
染色体DNAの挿入、複製、欠失、及び転座が、癌の発生に対する大きな原因であり、従って、癌性の細胞の特徴であるとみなすことができるということは既知である。
0067
本発明の目的に対して、「生物学的試料」という用語は、ヒト又は動物の対象の細胞からなる物質、好ましくは細胞を含んだいかなる試料にも関し、これらの細胞における細胞核DNAの量、特に、癌性の細胞の存在が検査されることになる。
0068
従って、そのような生物学的試料は、骨髄細胞、リンパ節細胞、リンパ球、赤血球、神経細胞、筋細胞、繊維芽細胞、ケラチン生成細胞、粘膜試料、末梢血試料、脳脊髄液試料、尿試料、浸出液試料、穿刺吸引液、穿刺吸引細胞生検用生体組織、ブラシ生検用生体組織、末梢血擦過物、皮膚擦過物、剥離された細胞由来のスメア、体液由来の細胞遠心分離された標本(cytocentrifuged preparation)、(機械的及び/又は酵素的分散後の)細胞分離標本、パラフィン包埋組織、並びに、凍結切片を含めた群から選択することができる。
0069
「細胞核信号強度」という用語は、一般的に、蛍光マーカーを使用する状況において使用され、以下においてさらに説明される。核に局在化される蛍光マーカーによって、紫外線が吸収されるほど信号強度は通常高くなることを考慮に入れると、細胞核信号強度は細胞核紫外線吸光度と相互関係があるということを当業者は理解するであろう。
0070
本発明の目的に対して、「蛍光マーカー」という用語は、二重鎖核酸と特異的に相互作用することができ、適した光源を用いた励起により蛍光信号を与えるいかなる分子も意味している。一般に、本発明による蛍光マーカーは、約100nm(UV)から約800nmといった波長の光を吸収する。
0071
そのような蛍光マーカーは、例えばDNAの主溝又は副溝に結合することができる。蛍光マーカーは、核酸塩基挿入剤でありえ、4',6'−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)、ヨウ化プロピジウム(PI)、及び臭化エチジウム(EtBr)を含めた群から選択することができる。蛍光マーカーは、SYBR greenも含む。
0072
他の蛍光剤は、SYTOX Blue、SYTOX Green、SYTOX Orange、POP−1、BOBO−1、YOYO−1、TOTO−1、JOJO−1、POPO−2、LOLO−1、BOBO−1、YOYO−3、TOTO−3、PO−PRO−1、BO−PRO−1、TO−PRO−1、JO−PRO−1、PO−PRO−3、LO−PRO−1、BO−PRO−3、YO−PRO−3、TO−PRO−3、TO−PRO−5、SYTO 40 blue−蛍光核酸染色(fluorescent nucleic acid stain)、SYTO 41 blue−蛍光核酸染色、SYTO 42 blue−蛍光核酸染色、SYTO 43 blue−蛍光核酸染色、SYTO 44 blue−蛍光核酸染色、SYTO 45 blue−蛍光核酸染色、SYTO 9 green−蛍光核酸染色、SYTO 10 green−蛍光核酸染色、SYTO 11 green−蛍光核酸染色、SYTO 12 green−蛍光核酸染色、SYTO 13 green−蛍光核酸染色、SYTO 14 green−蛍光核酸染色、SYTO 15 green−蛍光核酸染色、SYTO 16 green−蛍光核酸染色、SYTO 20 green−蛍光核酸染色、SYTO 21 green−蛍光核酸染色、SYTO 22 green−蛍光核酸染色、SYTO 23 green−蛍光核酸染色、SYTO 24 green−蛍光核酸染色、SYTO 25 green−蛍光核酸染色、SYTO 26 green−蛍光核酸染色、SYTO 27 green−蛍光核酸染色、SYTO BC green−蛍光核酸染色、SYTO 80 orange−蛍光核酸染色、SYTO 81 orange−蛍光核酸染色、SYTO 82 orange−蛍光核酸染色、SYTO 83 orange−蛍光核酸染色、SYTO 84 orange−蛍光核酸染色、SYTO 85 orange−蛍光核酸染色、SYTO 86 orange−蛍光核酸染色、SYTO 17 red−蛍光核酸染色、SYTO 59 red−蛍光核酸染色、SYTO 61 red−蛍光核酸染色、SYTO 17 red−蛍光核酸染色、SYTO 62 red−蛍光核酸染色、SYTO 63 red−蛍光核酸染色、SYTO 64 red−蛍光核酸染色、アクリジンホモダイマー、アクリジンオレンジ、7−AAD(7−アミノ−アクチノマイシンD)、アクチノマイシンD、ACMA、DAPI、ジヒドロエチジウム、臭化エチジウム、エチジウムホモダイマー−1(EthD−1)、エチジウムホモダイマー−2(EthD−2)、エチジウムモノアジド、ヨウ化ヘキシジウム、ヘキスト33258(ビスベンズイミド)、ヘキスト33342、ヘキスト34580、ヒドロキシスチルバミジン、LDS 751、又は、Nuclear yellowを含む。これら全ての化合物が、例えばInvitrogen社 GmbH、ドイツから入手可能である。
0073
本発明の目的に対して、「二重鎖核酸と相互作用する」という用語は、少なくとも1つの蛍光マーカーが二重鎖構造を有する核酸と相互作用する能力を意味している。
0074
蛍光マーカーは、1つの好ましい実施形態において、特異的に二重鎖核酸と相互作用することができる。この状況において、「二重鎖核酸と特異的に相互作用する」という用語は、少なくとも1つの蛍光マーカーが二重鎖構造を有する核酸と優先的に相互作用する能力を意味している。
0075
優先的な結合は、同一の条件下で二重鎖核酸とは相互作用するが、一重鎖核酸とは相互作用しない、又は、少なくとも相互作用したとしてもより少ない程度で相互作用する蛍光マーカーの能力を意味している。
0076
蛍光マーカーが二重鎖核酸と優先的に相互作用するが、一重鎖核酸とは相互作用しないかどうかは、単離され不動化された二重鎖核酸及び単離され不動化された一重鎖核酸と同一の条件下で同時に接触させ、さらに、室温にてインキュベートさせるというin vitroでの実験により決定することができる。その後、洗浄バッファーが適用される。上記のように波長を放出する適した光源を用いた励起後、二重鎖核酸において、一重鎖核酸よりも強い信号が観察された場合、その蛍光マーカーは二重鎖核酸に対して特異的であるとみなされる。
0077
別の実施形態では、蛍光マーカーは、上記のように二重鎖核酸に対して特異的ではないが、核酸に結合されていない場合と比較して、核酸と結合された場合により強い蛍光信号を与えるという能力を有している場合がある。
0078
例えば臭化エチジウムの場合、蛍光信号は、二重鎖核酸に結合された場合に20倍まで、一重鎖の分子に結合された場合に10倍まで増加する。SYBR green Iでは、蛍光信号は、二重鎖のDNAに結合された場合に200倍まで増加する。このように、本発明によると、以下に説明するように核染色と細胞質染色とを区別するため、二重鎖核酸に特異的なマーカーを有する必要が絶対にあるというわけではない。DNAに結合した時、より明るい信号を生じるマーカーを使用する場合に、以下において説明するように洗浄を回避することができるかもしれない。
0079
当然ながら、好ましい実施形態において、例えば、二重鎖核酸と特異的に相互作用し、非結合の状態と比較して結合の状態においてより強い信号を与える能力を有する臭化エチジウム等のマーカーを使用することができる。
0080
細胞の核の位置及び/又は大きさ、すなわち境界線を決定する前に、並びに、前記少なくとも1つの生物学的試料内の少なくとも1つの(推測上癌性の)細胞を、二重鎖核酸と特異的に結合することができる前記少なくとも1つの蛍光マーカーと接触させる前にも、本発明のいくつかの実施形態においては、前記少なくとも1つの(推測上癌性の)細胞が紫外線吸光の測定のために調製されるように生物学的試料を調製する必要がある及び/又は調製することが望ましい場合がある。
0081
DNAイメージサイトメトリーにおいて生物学的試料内の細胞を調査するための生物学的試料の調製は当業者には既知であり、試料の希釈、蛍光標示式細胞分取器(FACS)による同種の細胞集団の単離、イムノエンリッチメント、又は、酵素的加水分解、機械的若しくは浸透圧的破裂、(密度)遠心分離、クロマトグラフィー、バッファー透析(buffer dialysis)等を含めた古典的な細胞生物学及び生化学技術を用いた、骨髄細胞、リンパ節細胞、リンパ球、赤血球、肝細胞、腎細胞、神経細胞、繊維芽細胞、ケラチン生成細胞等、特定の細胞型の集積及び精製を含むことができる。
0082
必要に応じて、固体の基板上に不動化された細胞試料を固定させることができる。この状況において当業者は、乾燥性の、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、エタノール、プロパノール、メタノール−アセトン、メタノール−氷酢酸、メタノール−ホルマリン−氷酢酸等、典型的な固定エイドを検討するであろう。
0083
いくつかの場合において固定は有用であり得るけれども、常に必要であるというわけではない。統合装置を用いて試料が調査される場合、細胞を固定するのではなく、単に不動化することを推薦できる。
0084
しかし、固定が検討された場合、スタンダードプロトコールに従い実施することができ、前記スタンダードプロトコールは、例えば:
パラホルムアルデヒドの場合:
● 4%PF含有PBS溶液を細胞に添加するステップ
● 室温にて5〜30分間インキュベートするステップ
● PBSで洗浄するステップ
を含み、
メタノール/アセトンの場合:
● 細胞を有する基板を氷のように冷たい100%メタノール内に置くステップ
● −20℃で5〜30分間インキュベートするステップ
● 細胞を有する基板を100%アセトンで洗い流すステップ
● アセトンを蒸発させるステップ
を含んでいる。
0085
上記の作業、すなわち、試料の単離及び調製、細胞の単離及び調製、細胞の不動化、透過化、及び固定化に使用することができるプロトコールは、例えば蛍光顕微鏡法に対する、例えば、Cell Biology:A laboratory handbook,Volumes I−III,Cellis,J.E.ed(1994);Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Volume I−III,Ausbel,R.M.ed.(1994)等の標準的な細胞生物学の教科書及び実験マニュアルから手に入れることができる。
0086
次に、例えば、約240nmから約280nmという好ましい波長の紫外(UV)線を用いて、若しくは、例えば位相差顕微鏡法を用いて、前記細胞内の核の位置及び/又は大きさを決定するために、ステップ(a)に進むことができる。
0087
以下において、本発明の2つの例証的な実施形態がさらに詳細に取りあげられている。以下で実施形態1と呼ばれる第一の実施形態において、核の局在化及び細胞核紫外線吸光度の決定が、好ましい波長の紫外線を用いて行われ、位相差顕微鏡法及び/又は蛍光マーカーの使用は必要としないことが好ましい。以下で実施形態2と呼ばれる第二の実施形態では、核の局在化及び細胞核紫外線吸光度の決定が、位相差顕微鏡法及び蛍光マーカーを用いて行われる。蛍光マーカーが使用される場合のインキュベーション及び洗浄ステップ、検出装置、並びに、紫外線の波長範囲等、より徹底的に詳しく取りあげられるこれら2つの実施形態の特定の態様は、それにもかかわらず、上記で構想された他の実施形態に同様に適用することができると� ��業者は理解する。この2つの実施形態の問題のうちいくつかが記述された後、どのように細胞核紫外線吸光度/細胞核信号強度を使用して細胞の倍数性状態、従って発癌特徴の存在及び/又は発生しそうな発癌特徴を決定することができるのかが次に取りあげられる。
0088
実施形態1−核酸の量の決定
言及されたように、一実施形態において本発明は、少なくとも1つの生物学的試料に存在する少なくとも1つの細胞における細胞核の核酸の量をin vitroで決定する方法を対象とし、当該方法は:
(a)前記細胞内の核の位置及び/又は大きさをin vitroで決定するステップ;
(b)約240nmから約280nmという好ましい波長の紫外線を用いて、ステップ(a)で決定された前記核の境界線内の紫外線吸光度をin vitroで決定するステップ;
を含む。
0089
しかし、好ましい実施形態において、約240nmから約280nmという好ましい波長の紫外(UV)線が使用されるであろう。ステップ(a)及び(b)において特に好ましい波長は、約250nm、255nm、又は260nmである。
0090
上記で明示された、少なくとも1つの生物学的試料内の少なくとも1つの癌性の細胞の検出に使用されることが好ましい細胞核の核酸の量を決定する方法は、次に、1つのステップ(a)から(b)に関してより詳細に記述される。
0091
前述されたように細胞が調製されると、次に、約240nmから約280nmという好ましい波長の紫外(UV)線を用いて前記細胞内の核の位置及び/又は大きさを決定するために、ステップ(a)に進むことができる。
0092
DNAは、蛋白質と比較して異なる能率で、230から290nmという波長の紫外線を吸収する。図4では、蛋白質及びDNAのこの波長領域における吸光度が、波長を関数として曲線で表されている。この図から、250nm等、約240nmから280nmという波長の紫外線を用いた場合に、DNAが蛋白質よりもはるかに多く(約50倍以上)光を吸収するということをはっきりと見ることができる。
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0093
この作用を使用して、細胞核の境界線、すなわち、位置及び/又は大きさを決定することができる。
0094
例えば、約240nmから約280nmの光を放出する光点を使用し、この光点を細胞中に用いて、該細胞の1つの面内を走査することができる。これは、例えば、共焦点レーザ走査顕微鏡を用いて行うことができる。核は細胞のDNAをほぼ全て含み、さらに、細胞質は主として蛋白質からなるため、光点が細胞質から細胞核まで横断すると、吸光度において急な増加を観察するであろう。従って、そのような光点で細胞の面の断面が走査された場合、吸光度の変化を測定することにより細胞核の境界線を明白に同定することができる。
0095
従って、本発明の目的に対して細胞内の核の境界線は、約240nmから約280nmという好ましい波長の紫外線を用いて決定することができる。本発明のさらに好ましい実施形態では、波長は、約250nm、255nm、又は260nmである。
0096
共焦点顕微鏡装置を用いて、細胞の核の内部にあるプローブに焦点を合わせることができる。一般的に、共焦点装置のプローブスポットは核よりも小さくなるようにする。
0097
この方法を用いて、1つのフレーム内の核の位置を突きとめるだけでなく、核全体の大きさ、すなわちその容積を実際に決定することができる。
0098
これは、以下のように行うことができる。記述されたように1つの面において光点を走査させることによって、反射光の強度を記述されたように決定することができる。移動の方向において信号が比較的低い箇所の距離により、核の局所的な厚さが測定される。
0099
核の一面内での一走査を図5が示しているように、これら1−D走査を三次元まで広げて、異なる面に対して同じ測定を行うことにより、核の全形を得ることができる。異なる座標(xy)で、核の局所的な厚さがz方向において測定される。このように、種々の面の異なる1−D画像から3−D画像を再構築することにより、核の外見を再構築して、核の容積を算出することができる。
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0100
共焦点装置により測定された、核から反射された紫外線の量は、スポットによりプローブされた領域によって吸収された光の量に逆に関係している。吸光は核を通してほぼ等しいと仮定すると、次に、好ましくは、その測定値を較正して、細胞核の核酸の紫外線吸光度を決定することができる。
0101
較正は、共焦点走査において同じ面内にある核及び核外の領域により紫外線の吸光度を決定することからなる。核内及び核外における測定どちらに対しても、光は、関心のある細胞に到達する前に組織のほぼ同じ量及び同じ距離だけ伝わり、どちらの測定においても、類似のバックグラウンド信号を生じた。従って、細胞核による吸光対細胞核によらない吸光に対する測定値間の比は、細胞核の吸光に対する絶対測定として利用することができる。しかし、単層の細胞が分析される場合、必ずしも信号を較正する必要があるわけではない。
0102
本発明の好ましい実施形態では、約240nmから約280nmという波長の紫外線が使用される。特に好ましい実施形態では、250nm、255nm、又は260nmという波長を有した紫外線が使用される。
0103
紫外線、特に、240nmから280nmという波長の紫外線を使用する理由は、ここでも、細胞の核に存在するDNAが、この波長範囲において、その細胞の蛋白質よりもはるかに高い吸光度を示すためである(図4参照)。
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0104
従って、蛋白質もDNAも含有している核は、DNAではなく主に蛋白質を含有する残りの細胞よりも光を吸収するであろう。
0105
共焦点レーザ走査顕微鏡を好んで使用することにより、核内の物質による紫外線の反射を測定し、その値を核外の細胞物質による反射と比較することができる。従って、核により吸収された紫外線対核外の領域により吸収された紫外線の比を算出することによって、共焦点走査で得られた一面内のDNAの密度に対する測定値である信号が得られる。
0106
このように、細胞核の紫外線吸光の測定値は、本発明によると、特に核内の紫外線吸光度信号を較正することにより得られる。1つの面の(較正された)信号を、同じ面の信号のみが比較された場合に、紫外線吸光の測定値として利用することができる。しかし、核の容積の決定に使用された種々の面(上記参照)の(較正された)信号を加算して、核全体の紫外線吸光の測定値を得ることもできる。
0107
インドの食事の蛾のRIDにどのように
この全ては、約240nmから約280nmという波長の紫外線を用いた共焦点レーザ走査顕微鏡法を使用して行われることが好ましい。特に好ましい実施形態では、約250nm、255nm、又は260nmという紫外線が使用される。
0108
当業者は、当然ながら、紫外線吸光度信号を記録する方法、並びに、これらの信号を使用して、例えば細胞核の画像を算出する方法に精通している。
0109
信号強度、すなわち、吸収された又は透過された光の量の決定は、一般的にこれらの目的のために使用される機器を用いて行われる。
0110
信号の検出に対しては、紫外線吸光度信号を検出する能力がある顕微鏡を使用することができる。本発明の好ましい実施形態では、同じ顕微鏡が、1又は複数の細胞を見るために必要とされた装置、及び、位相差においてもその細胞を検査するために必要とされた装置を提供することができる。紫外線吸光度信号を検出するために好んで使用することができる1つの顕微鏡のタイプは、共焦点レーザ走査顕微鏡であり得る。
0111
共焦点顕微鏡法は、従来の光学顕微鏡法と比較していくつか利点を提供しており、最も重要な利点のうちの1つは、画像を歪めてしまう焦点がずれた情報の除去、制御可能な被写界深度、及び、サブミクロン解像度である。共焦点顕微鏡法のさらなる利点は、標本のうち焦点がずれた種々の部分における蛍光を取り除くことができるので、焦点の合った部分又は切片を妨害せず、その結果、古典的な光学顕微鏡法によって得られた類似の画像よりもかなり鮮明でより良い解像度を示す画像を生じることである。
0112
共焦点走査顕微鏡法の基本原理は、対物レンズの焦点が合わされた点に「結合」された顕微鏡レンズシステムの焦点にピンホールを有したスクリーンの使用である。対物レンズの焦点からの光のみがピンホールにて集められ、例えば電荷結合素子(CCD)であり得る検出器を通り抜けることができる。試料のうち焦点がずれた切片からの光は、ほぼ完全に取り除かれる。
0113
このように、共焦点顕微鏡は、x及びy方向に対して従来の顕微鏡よりも有意に優れた解像度を有している。さらに、共焦点顕微鏡は、z方向においてより浅い被写界深度を有している。このように、試料中焦点を走査することにより、試料の異なる面を見ることが可能であり、従って、試料の3次元画像を再構築することが可能である。さらに、共焦点顕微鏡法は、種々の波長の光と両立し得る。
0114
核の局在化に対して、共焦点走査顕微鏡は、単色光又は多色光を使用することができる。しかし、240nmから280nmという波長を有した単色紫外線が好ましい。特に好ましいのは、250nm、255nm、又は260nmという波長の紫外線であり得る。
0115
共焦点レーザ走査顕微鏡として、LEICA DMLM等で、蛍光信号の信号強度を測定するためのQimaging Regita 2000R FASTCooled Mono 12−bitカメラ装置(www.qimaging.com)を有した顕微鏡を使用することができる。
0116
信号強度、すなわち、吸収された又は透過された光の量の決定は、一般的にこれらの目的のために使用される機器を用いて行われる。
0117
従って、例えば、前述の光源を用いて励起された場合にその細胞を見るために使用される顕微鏡の口径につながれた電荷結合素子又はデジタルカメラを使用することができる。当然ながら、フィルム等も使用することができる。
0118
検出装置は、例えば、BQ6000フレームグラバーボードを介してコンピュータに接続されたOptronics DEI−700 CE three−chip CCDカメラであり得る。或いは、Hitachi HV−C20 three−chip CCDカメラを使用することができる。画像分析用ソフトウェアパッケージは、例えば、Bioquant True Color Windows(登録商標) 98 v3.50.6 画像分析ソフトウェアパッケージ(R&M Biometrics社,Nashville,TN)、又は、Image−Pro Plus 3.0画像分析ソフトウェアであり得る。使用することができる別のシステムは、デュアル・モードに基づいたBioView Duet system(BioView Ltd社,Rehovot,Israel)、全自動の顕微鏡(Axioplan 2,Carl Zeiss社,Jena,Germany)、XY電動8スライドステージ(Marzhauser社,Wetzler,Germany)、3CCDプログレッシブスキャンカラーカメラ(DXC9000,Sony社,Tokyo,Japan)、並びに、システムの制御及びデータの分析用コンピュータである。
0119
本発明の利点のうちの1つは、細胞核の境界線の決定及び細胞核紫外線吸光の測定が、共焦点レーザ走査顕微鏡等の同じ機器で行われることである。
0120
別の利点は、240nmから280nm、特に250nm、255nm、及び/又は260nmという好ましいUV波長が、核、及び、存在する細胞核DNAの量を算出するために使用することができる紫外線吸光値を確実に同定するのに十分であるので、本発明には、例えば蛍光マーカー(これらは使用される可能性があるけれども)、化学反応、又は、免疫組織化学染色で細胞核DNAを可視化する必要がないことである。
0121
実施形態2−核酸の量の決定
言及されたように、一実施形態において本発明は、少なくとも1つの生物学的試料に存在する少なくとも1つの細胞における細胞核の核酸の量をin vitroで決定する方法を対象とし、当該方法は:
(a)前記少なくとも1つの細胞内にある二重鎖核酸と相互作用することができる少なくとも1つの蛍光マーカーに前記少なくとも1つの細胞を接触させるステップ;
(b)適した光源を用いた励起により得られる信号によって、二重鎖核酸に結合している前記少なくとも1つの蛍光マーカーの信号強度を決定するステップ;
(c)位相差顕微鏡法により、前記少なくとも1つの細胞内の核の位置及び/又は大きさを決定するステップ;
(d)ステップ(b)で得られた信号強度をステップ(c)で得られた核の位置及び/又は大きさと相関させることにより、細胞核の二重鎖核酸に結合している蛍光マーカーの細胞核信号強度を決定するステップ;
を含む。
0122
本発明の別の実施形態において、ステップ(c)からステップ(a)に進み、ステップ(d)はステップ(b)に続くことができる。
0123
検査されることになる前記少なくとも1つの生物学的試料の少なくとも1つの(推測上癌性の)細胞を含んだ細胞が適した様式で調製されると、不動化され、任意選択で透過化及び固定化された細胞を、細胞内にある二重鎖核酸に特異的に相互作用する能力がある前記少なくとも1つの蛍光マーカーと接触させることができる。
0124
この目的のために、前記少なくとも1つの蛍光マーカーを、適したインキュベーションバッファーにおいて配合することができる。原理的には、いかなる中性pHの等張バッファーも使用することができる。
0125
そのような溶液含有の蛍光マーカーを用いて、細胞試料を少なくとも4℃の温度で少なくとも10秒間インキュベートすることができる。一般的に、及び、好ましくはいくつかの例において、インキュベーションは室温(例えば20〜25℃)にて数分間行われる。
0126
前記少なくとも1つの生物学的試料から得られた前記細胞試料のうちの少なくとも1つの(推測上癌性の)細胞が、二重鎖核酸に特異的に相互作用する能力がある前記少なくとも1つの蛍光マーカーと接触させられると、上記でステップ(b)と呼ばれた第2のステップにおいて、適した光源を用いた励起により得られた、インキュベートされた細胞内にある二重鎖核酸に特異的に結合されている前記少なくとも1つの蛍光マーカーの信号強度が決定される。
0127
前記信号強度が測定される前に、任意選択で、インキュベーション溶液含有の蛍光マーカーでインキュベートされた生物試料を洗浄して、信号のSB比を高めることができる。そのような洗浄液は、非特異的な相互作用及びバックグラウンド信号を減らすために、より高い生理的塩濃度のバッファー、及び/又は、NP−40、Tween 20、Tween 80、Triron X100等の界面活性剤を有したバッファーを含むことができる。そのような洗浄バッファーは、例えば0.05% Tween20を有したPBS(pH7.4)を含むことができる。いかなる生理pHの等張バッファーも使用することができる。蛍光マーカーは、非結合のマーカーと比較して、二重鎖核酸に結合した場合に増加した信号強度を示すので、洗浄ステップは任意である。しかし、改善されたSB比のために、洗浄ステップは好ましいステップであり得る。
0128
励起は、蛍光マーカーを励起することができる光源を用いて行われる。一般に、光源は、約100nmから約800nmの波長を放出する。励起波長は、使用される蛍光マーカーの性質に依拠するであろう。臭化エチジウム、ヨウ化プロピジウム、及びDAPIの場合、一般的に、約300nmから約550nmに及ぶ紫外線が使用される。この後者の波長範囲は、ヨウ化プロピジウム等の他のマーカーに対しても好ましい場合がある。
0129
使用される蛍光マーカーの吸収スペクトルに応じて、光源は単色光又は多色光を放出することができる。
0130
蛍光マーカーの信号強度は細胞ごとに個別に測定され、それは、細胞の空間的分離を可能にするために顕微鏡の使用を必須にするということを理解されたい。
0131
信号の検出のために、蛍光信号を検出する能力を持つ顕微鏡を使用することができる。本発明の好ましい実施形態では、同じ顕微鏡が、1又は複数の細胞を見るために必要とされた装置、及び、位相差においてもその細胞を検査するために必要とされた装置を提供することができる。蛍光信号を検出するために使用することができる1つの顕微鏡のタイプは、共焦点レーザ走査顕微鏡であり得る。しかし、本発明の方法に対して一般的に構想される用途には、必要とされたフィルター、検出装置、ソフトウェア等を装備した位相差顕微鏡が十分であり得る。
0132
信号強度、すなわち、吸収された又は透過された光の量の決定は、これらの目的のために一般的に使用される機器を用いて行われる。これらの機器のうちいくつかは、実施形態1の状況においてすでに記述されている。
0133
従って、例えば、前述の光源を用いて励起された場合にその細胞を見るために使用される顕微鏡の口径につながれた電荷結合素子又はデジタルカメラも使用することができる。当然ながら、フィルム等も使用することができる。
0134
発光スペクトルが総合感度のスペクトル範囲内にある場合、蛍光の測定は、ここでも、いかなる標準的な(バリアフィルター、励起フィルター、及びダイクロイックミラーからなる)フィルターキューブ、又は、特別な用途に対してカスタマイズされたいかなるフィルターキューブを用いても行うことができる。暗視野顕微鏡法及び位相差顕微鏡法等のいかなる標準的な空間フィルタリング方法と共にスペクトルバイオイメージングを使用することができ、さらには、偏向顕微鏡法と共に使用することさえもできる。
0135
蛍光マーカーにより生じた信号の蛍光光学読み取り(fluorescence−optical read−outs)は、上記のように、例えば、電荷結合素子(CCD)を用いて記録することができ、前記電荷結合素子は、光学効果(拡散、反射)の定性的区別という目的のために(反射光顕微鏡(reflected−light microscopy)又は透過光顕微鏡(transmitted−light microscopy)による)暗視野及び蛍光物質の励起を得る。この工程において、細胞のイメージングは、高解像度オプティクスを用いた露光又は復元により生じる。米国特許第5304810号に記述されたもの等の共焦点走査システムは、試料のうち選択された面からの蛍光信号を評価することも可能にしている。共焦点走査システムは、ピンホールによる光軸に沿った蛍光信号の選択に基づき、強力なオートフォーカスシステムが装備される場合が多くある。そのようなシステムにより、蛍光マーカーから生じる信号を正確に突きとめること、及び、その信号強度を測定することが可能である。
0136
検出装置は、ここでも、例えば、BQ6000フレームグラバーボードを介してコンピュータに接続されたOptronics DEI−700 CE three−chip CCDカメラであり得る。或いは、Hitachi HV−C20 three−chip CCDカメラを使用することができる。画像分析用ソフトウェアパッケージは、例えば、Bioquant True Color Windows(登録商標) 98 v3.50.6 画像分析ソフトウェアパッケージ(R&M Biometrics社,Nashville,TN)、又は、Image−Pro Plus 3.0画像分析ソフトウェアであり得る。使用することができる別のシステムは、デュアル・モードに基づいたBioView Duet system(BioView Ltd社,Rehovot,Israel)、全自動の顕微鏡(Axioplan 2,Carl Zeiss社,Jena,Germany)、XY電動8スライドステージ(Marzhauser社,Wetzler,Germany)、3CCDプログレッシブスキャンカラーカメラ(DXC9000,Sony社,Tokyo,Japan)、並びに、システムの制御及びデータの分析用コンピュータである。
0137
このように、位相差を用いたLEICA DMLM等で、蛍光信号の信号強度を測定するためのQimaging Regita 2000R FASTCooled Mono 12−bitカメラ装置(www.qimaging.com)を有した顕微鏡も使用することができる。
0138
蛍光信号の信号強度を測定するための検出装置が飽和制限に達し得るということが既知である場合に、細胞試料を蛍光マーカーに接触させるために使用される蛍光マーカー溶液の希釈、及び/又は、対応して細胞試料の希釈が必要な場合がある。
0139
上記でステップ(c)と呼ばれた第3のステップにおいて、前記少なくとも1つの(推測上癌性の)細胞を含んだ生物学的試料内の細胞の核の位置及び/又は大きさは、位相差顕微鏡法を用いて決定される。この目的のために、位相差を用いたLEICA DMLM等の典型的な顕微鏡を使用することができる。
0140
当業者は、位相差顕微鏡法による固定化及び不動化された細胞の顕微鏡分析に精通している。
0141
本発明の目的のために、蛍光マーカーにより生じた信号の検出を可能にし、同時に、位相差顕微鏡法によって、同じ細胞の目視、従って核の位置及び/又は大きさの決定を可能にする顕微鏡が使用されることが望ましい場合がある。この場合、前述された顕微鏡等の共焦点レーザ走査顕微鏡を使用することができる。蛍光信号と位相差の写真の記録を同時に可能にする顕微鏡は、特に、NPlan 20x/0.40 PH1対物レンズ又はNplan 40x/0.65 PH2対物レンズを有したLEICA DMLM等の顕微鏡を含む。しかし、蛍光信号の検出及び位相差顕微鏡法による細胞核の位置及び/又は大きさの決定は、異なる装置を用いても行うことができる。
0142
適した光源を用いた励起後に蛍光マーカーの信号強度が決定され、試料内の観察された細胞の核の位置及び/又は大きさが決定されると、上記でステップ(d)と呼ばれた第4のステップにおいて、前記方法にうちの前述のステップ(b)で得られた信号強度を前述のステップ(c)で得られた核の位置及び/又は大きさと相関させることにより、二重鎖核酸、好ましくは細胞核DNAに特異的に結合している蛍光マーカーの細胞核信号強度を決定することができる。蛍光信号強度を決定するモードにおいて細胞核を検出することは一般的にできないため、このステップは必要である。
0143
「細胞核信号強度」という用語は、細胞の核内にある(二重鎖の)核酸に結合した蛍光マーカーから生じる信号強度を意味している。
0144
「前述のステップ(b)[又は、以下に記述される診断方法の状況においてはステップ(c)]で得られた信号強度を前述のステップ(c)[又は、以下に記述される診断方法の状況においてはステップ(d)]で得られた核の位置及び/又は大きさと相関させる」という句は、蛍光信号強度を測定する際に細胞に対して得られた画像を、同じ細胞の位相差画像と重ね合わせ、次に、核から放出されている蛍光マーカー信号の信号強度を決定するということを意味している。それぞれの画像を重ね合わせること、及び、細胞核信号強度の決定は、当然ながら、上記のように既知の画像分析ソフトウェアパッケージを用いて行うことができる。
0145
従って、コンピュータベースのアルゴリズム、及び、一般的に、例えば共焦点レーザ走査顕微鏡が装備されたソフトウェアを用いて行うことができる相関において、細胞の核から放出されている信号のみが考慮に入れられる。位相差顕微鏡法を用いた核の大きさ及び/又は位置の決定は、細胞核からではなく、細胞質等の他の細胞構造体から生じ、ステップ(b)において決定された全ての信号強度を無視するために必要な情報を用いたコンピュータベースのアルゴリズムを提供するのに必要である。
0146
この相関を行う理由は、大部分の二重鎖核酸が細胞核内に染色体DNAの形状で存在している場合、細胞核から生じる信号の方がより強いけれども、二重鎖核酸と特異的に相互作用する能力を持つ本発明による蛍光マーカーは、細胞核だけでなく、細胞中に蛍光信号を生じてしまうためである。
0147
例えば細胞の細胞質内にある二重鎖核酸分子から生じる信号は、例えば細胞核DNA含有量の決定に負の影響を与えるので、本発明の方法は、細胞核から放出された信号のみを使用する。これにより、例えばDNA含有量測定の精度は有意に増加する。
0148
しかし、細胞核の大きさ及び/又は位置は、従来技術において行われてきた面倒な染色方法ではなく位相差顕微鏡法を用いて決定されるので、本発明による方法を行うのに必要とされる時間は有意に減少される。
0149
このように、細胞核の位置及び/又は大きさ、並びに、考慮されることになる蛍光信号の細胞核から放出された蛍光信号への後の制限を決定するために特異的に二重鎖核酸と相互作用することができる蛍光マーカーと位相差顕微鏡法を使用するという組合せによって、迅速で簡単な、細胞核内の二重鎖核酸の量の決定が可能になり、その結果、生物学的試料内にある癌性の細胞の検出が可能になる。
0150
考慮されることになる信号強度を、位相差顕微鏡法による生物学的試料内にある潜在的に癌性の細胞の核から放出される信号強度へ制限することによって、本発明による方法は、以下において説明されるように、迅速で正確な、細胞核内にある二重鎖核酸の量の決定を可能にする。
0151
本明細書において記述されるマーカーは、詳細に記述されてきたマーカーそのものであり得る。DNAの主溝又は副溝に結合する薬剤、4',6'−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)、ヨウ化プロピジウム(PI)、臭化エチジウム、又は、SYBR greenを含めた群から選択される蛍光マーカーが好ましいマーカーであり得る。臭化エチジウムは、生物学的なブラシ生検用試料内の上皮癌と関連した癌性の細胞の検出を特に可能にするので、特に好ましい場合がある。
0152
上記のように、二重鎖核酸に特異的な蛍光マーカーを位相差顕微鏡法と組み合わせて使用することによる生物学的試料内の少なくとも1つの癌性の細胞を検出する方法は、例えばフォイルゲン染色法と比較すると、DNA−サイトメトリー法を早めることができる。
0153
位相差顕微鏡法のステップを介して、核を正確に突きとめてその大きさを決定し、次に、検査中の細胞の核から放出された蛍光信号のみを考慮することによってこの情報をさらなるDNA含有量の決定に使用することが可能である。位相差顕微鏡法が核の位置及び/又は大きさの決定に使用されるので、時間がかかり面倒である第2の反応においても核を染色する必要がない。
0154
核のサイズ及び位置が位相差顕微鏡法により決定されると仮定すれば、DNA含有量測定は核から放出されている蛍光信号に基づき、従って、DNAサイトメトリー測定の精度が損なわれることはない。蛍光染色法は分の事柄であり、位相差測定は秒の事柄であるため、DNAイメージサイトメトリー測定は、以前から知られているDNAイメージサイトメトリー法よりも有意に速いタイムトラックで行われる。従って、本発明のいくつかの実施形態において、本発明は、医院内での細胞のDNA含有量の測定さえも可能にする。
0155
本発明の一実施形態において、癌性の細胞は、白血病、リンパ腫、脳癌、脳脊髄の癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、子宮頸癌、子宮癌、卵巣癌、腎臓癌、口腔癌、咽喉癌、食道癌、肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、及びメラノーマを含めた群から選択される癌に関連づけることができる。
0156
紫外線光をdectectするために使用されているもの
本発明は、このように、細胞内の二重鎖核酸と相互作用することができる蛍光マーカーを使用することにより、生物学的試料内にある少なくとも1つの癌性の細胞を検出する方法を特に提供する。位相差顕微鏡法を行うことによって、核の位置及び/又は大きさを決定する。次に、細胞核から生じた信号のみがさらなる計算に使用されるように、この後者の情報を、例えばオーバーレイ写真において、例えば適切なソフトウェアパッケージを使用することにより、細胞全体に対して得られた蛍光マーカーの信号強度と相関させることができる。少なくとも1つの推測上癌性の細胞における蛍光マーカーの細胞核信号強度が得られると、この細胞核信号強度は、非癌性であると知られる、デンシトグラムの形状で倍数性状態(2又は4)が既� ��である類似又は同一の細胞型に対して同じ方法により得られた標準細胞核信号強度に参照される。次に、参照デンシトグラムの2若しくは4、又は、ピーク領域の値からの有意な偏差が、癌の発生を示しているとみなされる。
0157
上記のステップの順序は変更することができるということに当業者は気づくであろう。従って、まず試料を蛍光マーカーに接触させインキュベートさせて、位相差顕微鏡法を行い、次に蛍光信号強度を決定することによって、開始することができる。特定の状況において、例えば、まず位相差顕微鏡法を行い、次に試料を蛍光マーカーに接触させインキュベートさせて、最後に蛍光信号強度を測定することも可能な場合がある。
0158
或いは、ステップ(c)からステップ(a)に進み、ステップ(d)はステップ(b)に続くことができる。
0159
倍数性状態の決定
以下において、実施形態1、実施形態2、又は、前述の他の実施形態のうちどれかによって得られた細胞核紫外線吸光度/細胞核信号強度が、どのようにして細胞の(推測上)癌性の状態を決定するために使用することができるかが記述される。
0160
大抵の哺乳動物細胞が各2対の染色体を含んでいることは常識である。従って、染色体の数は、nを染色体の数として2nで算出することができる。しかし、細胞は複製する時、娘細胞への染色体の分離が起こる前に染色体の数を2倍にする。
0161
従って、DNA複製中及び細胞分裂の前に、哺乳動物細胞は、ここでもnを染色体の数として4nで算出することができる多数の染色体を含む。
0162
哺乳動物細胞のDNA量が染色体の数に参照された場合、「健康な」又は「正常な」細胞と呼ぶこともできる非癌性の細胞のDNA含有量には、従って、細胞の複製状態に応じて2又は4の価を割り当てることができる。
0163
本発明の状況において「倍数性」という用語は、正常で非癌性の細胞のDNA含有量を意味し、説明されたように、2及び4の価を有することができる。
0164
例えば前述されたフォイルゲン染色法を使用することによる非癌性の細胞の倍数性状態の決め方も当技術分野では常識である。この状況においては、Hardie et al.の刊行物(The Journal of Histochemistry&Cytochemistry(2002),50(6),735−749)を、DNA染色法を用いた細胞のDNA含有量の決定を記載している限り援用する。
0165
Hardie et al.による参考文献の738頁にある"Image Analysis Densitometry"という項において、例えばフォイルゲン染色法、
蛍光マーカー、又は紫外線吸光度信号により得られた信号強度をどのようにして濃度測定値に変換することができるかが説明されている。上記において説明されたように、健康で非癌性の細胞は、nを染色体の数として、2n又は4nの染色体を含む。従って、本発明において使用された細胞核紫外線吸光度信号から得られた信号強度の濃度測定分析は、2つのピーク領域を有した濃度プロファイルを生じる。
0166
(細胞が増殖している場合)これら2つのピーク領域には、2又は4の価がそれぞれ割り当てられる。そのような濃度プロファイルの例が図1に提供されている。特定の場合において、非増殖の細胞集団を分析し、なぜ4に対応するピークがないのかを説明した。一般的に非増殖性としても知られる同じ組織の細胞集団に対して4の価が観察された場合、増殖、この状況では癌性の状態を示している。
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0167
手短に言えば、画像分析デンシトメトリーに対して、細胞を目視するため及び細胞核紫外線信号を測定するために使用される顕微鏡視野は、コンピュータに接続された、顕微鏡に取り付けられたCCD(電荷結合素子)検出装置又はデジタルカメラにより捕らえられる。デジタル化された画像の写真は、一連のピクセルとして記録され、各ピクセルには特有の色及び彩度が割り当てられる。次に、前記彩度は、一般的にコンピュータベースのアルゴリズムによって吸光度に変換され、次に、前述のデンシトグラムとして画像分析ソフトウェアにより表示される。
0168
当然ながら、正常で非癌性の細胞における、意義があり信頼できるデンシトグラムは、好ましくは数多くの細胞からなる集団から算出するべきであり、好ましくは、25〜100という多数の細胞が一般的には十分であるということに当業者は気づいている。従って、本発明の好ましい実施形態において細胞核DNAの量は、上記のように少なくとも約30、40、50、又は60個の細胞の細胞核紫外線吸光度を測定することにより決定される。
0169
本発明のさらなる実施形態では、細胞核紫外線吸光度を使用して、少なくとも1つの生物学的試料において癌性の細胞を検出することができる。当然ながら、前述の実施形態2に従い得られた、細胞核二重鎖核酸に結合している蛍光マーカーの細胞核信号強度を使用して、少なくとも1つの生物学的試料における少なくとも1つの癌性の細胞を検出することもできる。
0170
これは、本発明による上記の方法を用いて推測上癌性の細胞の細胞核DNA含有量又は倍数性状態を決定することにより達成される。決定された倍数性状態は、次に、同一の方法により得られた細胞核信号強度から決定された非癌性の細胞の倍数性状態と比較される。
0171
従って、推測上癌性の細胞が実際に癌になりやすい細胞かどうかを決定するために、上記のようにデンシトグラムが決定される。非癌性の細胞に対して観察されたデンシトグラムは、「標準」又は「参照」デンシトグラムと呼ばれる。
0172
好ましくは、そのような参照デンシトグラムは癌性の細胞を検出するのと同じ方法を用いて測定されるが、非癌性の細胞のみが使用されることが確実にされる。これは、同じ個体の細胞だが、癌性であると思われる組織部位ではない他の組織部位由来の細胞を使用することにより達成することができる。或いは、又は、さらに、同一若しくは類似だが、癌に苦しんでいないと知られる異なる個体由来の細胞型を使用することができる。同じ個体の細胞が使用される場合、好ましくは類似の細胞型を、非癌性であると保証されている限り使用するべきである。標準デンシトグラム(すなわち、ヒストグラム)を得るために調査されることになる細胞の数及び細胞型は、当業者の知識内のもので十分であり、25から100個の細胞までさまざ� ��で、好ましくは、約30、40、50、又は60個の細胞である。
0173
従って、本発明の目的に対して「類似の細胞型」という用語は、疑われた癌性の細胞と類似の由来で類似の細胞特徴を有した細胞型に関している。例えば、粘膜の細胞が癌発生に対して検査される場合、標準対照細胞も粘膜由来のものであるべきである。一方、リンパ系細胞が癌発生に対して検査される場合、標準対照細胞も、類似の細胞型であるためにリンパ由来のものであるべきである。
0174
典型的な標準又は類似の細胞型は、従って、リンパ球、顆粒球、正常な上皮細胞、又は、ストロマ細胞であり得る。
0175
非癌性であると知られ、推測上癌性の細胞に対して得られた細胞核信号強度の標準対照として使用される類似の細胞型の細胞核紫外線吸光度/細胞核強度は、同一の条件下ではない場合、可能な限り、非常に類似の条件下で測定されるべきである。
0176
従って、標準又は対照細胞と呼ぶこともできる類似の細胞型は、類似の生物学的プローブから調製及び単離され、分析中の細胞と実質的に同じく固定化及び(必要に応じて)透過化されるべきである。さらに、対照細胞は、実際の癌性の細胞と同じラン中に、同じ顕微鏡条件を用いて分析されるべきである。
0177
特定の細胞に対して、前述された2又は4の価からはずれた倍数性状態が決定された場合、これは、実質的な複製、挿入、欠失、又は、染色体再構築を示し、従って、癌性の細胞を示している。この場合のように、そのような細胞の倍数性状態は2及び4の価からはずれており、異数性状態も表している。このことは、当然ながら、正常な状態においてでさえも一般的に増殖性である細胞型が考慮されていると仮定している。
0178
このように、非増殖性であると通常知られる細胞を検査する場合、4という倍数性の価は、癌発生を示している場合がある。
0179
正常な状態において増殖性であると知られる細胞が検査された場合、4の価は癌発生を示しているとはみなされない。この場合、2及び4の価からの偏差のみが癌発生を示すことになる。
0180
本発明の状況における「異数性状態」という用語は、従って、細胞内の細胞核DNAの異常量に関している。
0181
信頼できる物を得るために、細胞核DNAの量、従って、推測上癌性の細胞のデンシトグラム(ヒストグラム)は、細胞の集団から算出されることが好ましく、約100から700個、好ましくは約100から300個の細胞が測定されることが好ましい。
0182
例えば肝組織由来の癌性の細胞が検査される場合、例えば、2及び4の価が割り当てられた2つの主なピークを有したデンシトグラムが得られる。しかし、非癌性の細胞の場合以外では、前記2つの主なピークのデンシトグラムはそれほど鋭く細くないが、いくぶん広い。さらに、2未満、2を越える、4未満、及び4を越えるデンシトグラムにおけるピーク及び信号が観察される。例が図2に提供されている。
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0183
いかなる試料においても過半数の細胞が2というDNA含有量を有するはずであるため、その過半数からの偏差も異常又は不審であるとみなすことができる。正常な細胞が過半数である癌性試料の事象においても、試料を不審であるとラベルするために使用することができるDNA含有量における大きな変動が依然として存在する。
0184
従って、上記のように本発明により得られる細胞核紫外線吸光度を基準として算出されるデンシトグラムが2価(及び、正常状態における細胞の増殖性状態に応じて4価)に対応するピーク外でピーク信号を示す場合、細胞は癌性と評価される。
0185
しかし、2(及び4)の価に対応するピークがいくぶん広い曲度を示す場合、そのピーク自体が細胞の癌の可能性を示すことができる。2(及び4)価に対応するピークの形状を考慮してデンシトグラムが実際に癌の発生を示しているかどうかを決めるために、推測上癌性の細胞試料のデンシトグラムが上記の標準又は参照デンシトグラムと重ねられる。
0186
標準デンシトグラムの2価及び4価を示しているデンシトグラムのピークにおける曲線下の面積(AUC)は非癌性の細胞を示していると解され、推測上癌性の細胞のデンシトグラムの対応するピークのAUCにおける少なくとも10%のいかなる偏差も癌性の細胞又は状態を示しているとみなされる。好ましい実施形態において、偏差は、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は、少なくとも50%である。
0187
細胞が正常又は癌性であるとみなされる場合について詳細に説明されている、ハロスク(Haroske)等の刊行物"1997 ESACP consensus report on diagnostic DNA image cytometry", Analytical Cellular Pathology 17(1998)189−200に明記された基準も適用することができる。
0188
このように、類似の非癌性の細胞型に対して得られた細胞核紫外線吸光度と比較した不審な癌性の細胞(集団)の細胞核紫外線吸光度/細胞核信号強度の有意な偏差は、進行中の癌発生又は今後起こりそうな癌発生を示している。
0189
本発明の目的に対して、不審な癌性の細胞の倍数性状態が、2価(及び、正常状態における細胞が増殖している場合は4価))の倍数性から少なくとも10%はずれている場合、DNA含有量における有意な異常は、癌発生を示しているとみなされる。好ましい実施形態において、偏差は、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は、少なくとも50%である。デンシトグラムにおけるピークには、該ピークのうち、参照デンシトグラムにおいて対応するピークと同一の部分に対して2価又は4価が割り当てられる。
0190
慣習によると、参照デンシトグラムの2価のピークに対応するピークが1.8から2.2に及ぶ場合、細胞のDNA含有量は近二倍体(peridiploid)と呼ぶことができる。
0191
参照デンシトグラムの4価のピークに対応するピークが3.6から4.4に及ぶ場合、細胞のDNA含有量は近四倍体(peritetraploid)であるとみなされる。
0192
これらの範囲外にある価はどれも、X倍体(X−ploid)とみなされる。
0193
近二倍体、近四倍体、及びX倍体の価を有した細胞及び組織は、本発明の目的に対して癌性の細胞とみなされる。
0194
このように、本発明の方法に従い得られた推測上癌性の細胞に対する細胞核紫外線吸光度を、同じ方法を用いた、非癌性であると知られる類似の細胞型に対する細胞核紫外線吸光度と参照させることによって生物学的試料における推測上癌性の細胞の倍数性(異数性)状態を算出するために、上記の方法を使用することができる。
0195
本発明の目的に対して、「非癌性の」という用語は、癌発生の徴候を示していないとして知られる細胞を意味している。
0196
本発明の一実施形態において、癌性の細胞は、白血病、リンパ腫、脳癌、脳脊髄の癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、子宮頸癌、子宮癌、卵巣癌、腎臓癌、口腔癌、咽喉癌、食道癌、肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、及びメラノーマを含めた群から選択される癌に関連づけることができる。
0197
診断方法
言及されたように、本発明は、in vitroでのヒト又は動物の対象における癌を診断及び/又は予測する方法にも関し、当該方法は:
(a)ヒト又は動物の対象から生物学的試料を提供するステップ;
(b)in vitroで、前記試料のうち少なくとも1つの細胞内の核の位置及び/又は大きさを決定するステップ;
(c)ステップ(b)で決定された核の境界線内の紫外線吸光度をin vitroで測定するステップ;
(d)ステップ(c)で得られた細胞核信号強度から、前記少なくとも1つの細胞の倍数性状態を算出するステップ;
(e)前記倍数性状態に応じて、癌の存在及び/又は今後起こりそうな癌の発生を決定するステップ;
を含む。
0198
本発明による診断方法も、細胞内の核の位置及び/又は大きさを決定する、並びに、前記核の境界線内の紫外線吸光度を決定するという基本概念を実現する種々の実施形態を含む。核の境界線を決定することに相当する核の位置及び/又は大きさを決定することに対して、可視光線を用いた位相差顕微鏡法、並びに、紫外線を用いた検出法をここでも使用することができる。核の紫外線吸光度を決定することに対しては、二重鎖核酸と相互作用することができる蛍光マーカーを加えることなく、単に紫外線測定に依拠することができるか、又は、そのようなマーカーを使用することができる。
0199
以下において、これら診断方法の一般的な態様が取りあげられる。さらなる問題が2つの特定の実施形態に関して取りあげられる。より徹底的に詳しく取りあげられるこれら2つの実施形態の特定の態様は、それにもかかわらず、上記で構想された他の実施形態に同様に適用することができると当業者は理解する。
0200
ステップ(a)に関して、生物学的試料は、例えばブラシ生検、吸引、穿刺吸引細胞診、内視鏡生検等、従来の方法を用いてヒト又は動物の対象から得ることができる。
0201
次に、ステップ(b)、(c)、及び(d)は、生物学的試料内にある少なくとも1つの癌性の細胞を検出するために好んで適用することができる、細胞内の細胞核二重鎖核酸の量をin vitroで決定する上記の方法のステップ(a)及び(b)として行うことができる。
0202
上記でステップ(e)と呼ばれた最後のステップでは、癌の存在及び/又は今後起こりそうな癌の発生が、検査中の細胞の細胞核DNA含有量又は倍数性状態に応じて決定される。この最後のステップは、前記2つの実施形態が示された後、より徹底的に詳しく取りあげられる。
0203
当然ながら、推測上癌性の細胞に対するデンシトグラム、及び、参照又は標準デンシトグラムの決定に関する上記の説明、「in vitro」、「約」、「倍数性」、「異数性」、「近二倍体」、「近四倍体」、「X倍体」、「AUC」等の用語の意味は、本発明による癌を診断及び/又は予測する方法の状況において等しく適用される。
0204
「in vitro」という用語は、上記の診断方法のうち全てのステップが、ヒト又は動物の身体に直接触れることなく行われることを意味している。
0205
実施形態1−診断方法
1つの例証的な実施形態において、本発明は、in vitroでのヒト又は動物の対象における癌を診断及び/又は予測する方法に関し、当該方法は:
(a)少なくとも1つの細胞を含んだ生物学的試料を前記対象から得るステップ;
(b)前記細胞内の核の位置及び/又は大きさをin vitroで決定するステップ;
(c)紫外線を用いて、ステップ(b)で決定された核の境界線内の紫外線吸光度をin vitroで決定するステップ;
(d)ステップ(c)で得られた細胞核紫外線吸光度から、前記少なくとも1つの細胞の細胞核DNA含有量又は倍数性状態を算出するステップ;並びに、
(e)前記細胞核DNA含有量若しくは前記倍数性状態に応じて、癌の存在又は今後起こりそうな癌の発生を決定するステップ;
を含む。
0206
ステップ(b)及び(c)は、生物学的試料内にある少なくとも1つの癌性の細胞を検出するために好んで適用することができる、細胞内の細胞核二重鎖核酸の量をin vitroで決定する上記の実施形態1のステップ(a)及び(b)として行うことができる。
0207
本発明のこれらの態様の好ましい実施形態では、ステップ(a)及び/又は(b)において紫外線吸光度を測定するために、約240nmから約280nmという波長の紫外線が使用される。特に好ましいのは、約250nm、255nm、又は260nm等の波長である。
0208
ステップ(d)も上記のように行うことができる。
0209
上記でステップ(e)と呼ばれた最後のステップでは、癌の存在又は今後起こりそうな癌の発生が、検査中の細胞の細胞核DNA含有量又は倍数性状態に応じて決定される。
0210
癌を診断及び/又は予測するこの方法を行うことにおいて、生物学的試料を単離するために、細胞試料を調製するために、問題の細胞をことによると蛍光マーカーと接触させるために、信号強度を決定するために、同じ方法を使用することができる。
0211
従って、好ましい実施形態では、核の境界線を同定するため、及び、細胞核紫外線吸光度を測定するために、共焦点レーザ走査顕微鏡法が使用されるであろう。この最終段階まで、例えば上記の機器を使用することができる。
0212
実施形態2−診断方法
別の例証的な実施形態において、本発明は、in vitroでのヒト又は動物の対象における癌を診断及び/又は予測する方法に関し、当該方法は:
(a)生物学的試料を前記対象から得るステップ;
(b)前記対象の体外で、前記少なくとも1つの細胞内にある二重鎖核酸と相互作用することができる少なくとも1つの蛍光マーカーに前記少なくとも1つの細胞を接触させるステップ;
(c)適した光源を用いた励起により得られる信号によって、二重鎖核酸に結合している前記少なくとも1つの蛍光マーカーの信号強度を決定するステップ;
(d)位相差顕微鏡法により、前記少なくとも1つの細胞内の核の位置及び/又は大きさを決定するステップ;
(e)ステップ(c)で得られた信号強度をステップ(d)で得られた核の位置及び/又は大きさと相関させることにより、細胞核の二重鎖核酸に結合している蛍光マーカーの細胞核信号強度を決定するステップ;
(f)ステップ(e)で得られた細胞核信号強度から、前記少なくとも1つの細胞の細胞核DNA含有量又は倍数性状態を算出するステップ;
(g)前記細胞核DNA含有量若しくは前記倍数性状態に応じて、癌の存在又は今後起こりそうな癌の発生を決定するステップ;
を含む。
0213
ステップ(b)から(e)は、生物学的試料内にある少なくとも1つの癌性の細胞を検出するために好んで適用することができる、細胞内の細胞核二重鎖核酸の量を決定する上記の実施形態2のステップ(a)から(d)として行うことができる。
0214
ステップ(f)も上記のように行うことができる。
0215
上記でステップ(g)と呼ばれた最後のステップでは、癌の存在又は今後起こりそうな癌の発生が、検査中の細胞の細胞核DNA含有量又は倍数性状態に応じて決定される。
0216
癌を診断及び/又は予測するこの方法を行うことにおいて、生物学的試料を単離するために、細胞試料を調製するために、問題の細胞を蛍光マーカーと接触させるために、信号強度を決定するために、細胞核内の二重鎖核酸の量を決定する方法に対して上記で概説された位相差顕微鏡法を行うために、同じ方法を使用することができる。
0217
従って、蛍光マーカーは、二重鎖核酸と特異的に相互作用することができ、適した光源を用いた励起により蛍光信号を与えるいかなる分子でもあり得る。
0218
そのような蛍光マーカーは、例えばDNAの主溝又は副溝に結合することができる。蛍光マーカーは、核酸塩基挿入剤でありえ、4',6'−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)、ヨウ化プロピジウム(PI)、及び臭化エチジウム(EtBr)を含めた群から選択することができる。蛍光マーカーは、SYBR greenも含む。
0219
上記のステップの順序は変更することができるということに当業者は気づくであろう。従って、まず試料を蛍光マーカーに接触させインキュベートさせて、位相差顕微鏡法を行い、次に蛍光信号強度を決定することによって、開始することができる。特定の状況において、例えば、まず位相差顕微鏡法を行い、次に試料を蛍光マーカーに接触させインキュベートさせて、最後に蛍光信号強度を測定することも可能な場合がある。
0220
本発明の一実施形態において、ヒト又は動物の対象における癌を診断及び/又は予測する方法は、本質的に前述のステップに依拠し、ステップ(d)はステップ(b)から(c)に進み、ステップ(c)の後にはステップ(e)、(f)、及び(g)が続くことができる。
0221
診断方法−評価
前述の方法では、最後のステップ(e)(又は、実施形態2の場合はステップ(g))において、今後起こりそうな癌の発生の存在が決定される。
0222
前記対象から得られた生物学的試料の細胞に対して決定された細胞核DNA含有量又は倍数性の価が、非癌性であると知られる、非常に類似の条件下若しくは同一の条件下で細胞核信号強度が測定された類似の細胞型の細胞核DNA含有量又は2価(及び、正常状態における細胞が増殖している場合は4価)の倍数性から少なくとも10%はずれている場合、癌の診断は陽性であると考えることができる。好ましい実施形態において、偏差は、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は、少なくとも50%である。
0223
標準デンシトグラムの2価及び4価を示しているピークの曲線下の面積(AUC)は非癌性の細胞を示していると解され、推測上癌性の細胞のデンシトグラムの対応するピークのAUCにおける少なくとも10%のいかなる偏差も癌性の細胞を示しているとみなされ、従って、陽性の診断をもたらす。好ましい実施形態において、偏差は、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は、少なくとも50%である。
0224
慣習によると、参照デンシトグラムの2価のピークに対応するピークが1.8から2.2に及ぶ場合、細胞のDNA含有量は近二倍体と呼ばれる。
0225
参照デンシトグラムの4価のピークに対応するピークが3.6から4.4に及ぶ場合、細胞のDNA含有量は近四倍体であるとみなされる。
0226
これらの範囲外にある価はどれも、X倍体とみなされる。
0227
近二倍体、近四倍体、及びX倍体の価を有した細胞は、本発明の目的に対して癌性の細胞とみなされ、従って、DNA含有量が近二倍体、近四倍体、及びX倍体であるとみなされた場合、陽性の癌の診断が下される。
0228
in vitroでの癌を診断及び/又は予測する方法を使用して、白血病、リンパ腫、脳癌、脳脊髄の癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、子宮頸癌、子宮癌、卵巣癌、腎臓癌、口腔癌、咽喉癌、食道癌、肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、及びメラノーマを含めた群から選択される癌を診断及び/又は予測することができる。
0229
癌を診断及び/又は予測する方法を使用して、骨髄細胞、リンパ節細胞、リンパ球、赤血球、神経細胞、筋細胞、繊維芽細胞、ケラチン生成細胞、粘膜試料、末梢血試料、脳脊髄液試料、尿試料、浸出液試料、穿刺吸引液、穿刺吸引細胞生検用生体組織、末梢血擦過物、皮膚擦過物、剥離された細胞由来のスメア、体液由来の細胞遠心分離された標本、(機械的及び/又は酵素的分散後の)細胞分離標本、パラフィン包埋組織、並びに、凍結切片を含めた群から選択される試料を分析することができる。
0230
以下において、上記の実施形態1及び2に関する本発明の特定の態様が、明確に提案されている。
0231
実施形態1−特定の態様
1.少なくとも1つの生物学的試料内に存在する少なくとも1つの細胞における細胞核の核酸の量をin vitroで決定する方法であって、当該方法は:
(a)in vitroで、前記細胞内の核の位置及び/又は大きさを決定するステップ、
(b)紫外線を用いて、ステップ(a)で決定された前記核の境界線内の紫外線吸光度をin vitroで測定するステップ、
を含む。
0232
2.1に記載の方法は、
前記少なくとも1つの細胞内の核の位置及び/又は大きさが、紫外線及び/又は位相差顕微鏡法を用いることにより決定される方法である。
0233
3.1又は2に記載の方法は、
約240nmから約280nmという波長の紫外線が、ステップ(a)及び/又は(b)において使用される方法である。
0234
4.3に記載の方法は、
約250nm、255nm、又は260nmという波長の紫外線が、ステップ(a)及び/又は(b)において使用される方法である。
0235
5.1から4のいずれかに記載の方法は、
前記細胞核の核酸が、免疫組織化学染色、化学反応、又は、蛍光マーカーで可視化されない方法である。
0236
6.1から5のいずれかに記載の方法は、
前記少なくとも1つの生物学的試料における少なくとも1つの推測上癌性の細胞を検出するために使用される方法である。
0237
7.1から6のいずれかに記載の方法は、
前記少なくとも1つの癌性の細胞が、白血病、リンパ腫、脳癌、脳脊髄の癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、子宮頸癌、子宮癌、卵巣癌、腎臓癌、口腔癌、咽喉癌、食道癌、肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、及びメラノーマを含めた群から選択される癌に関連づけられる方法である。
0238
8.6に記載の方法は、
ステップ(b)で得られた細胞核紫外線吸光度を、同様に請求項1のステップ(a)及び(b)を用いて分析された少なくとも1つの非癌性の細胞の細胞核紫外線吸光度と比較することによって推測上癌性の細胞の細胞核DNA含有量又は倍数性状態を算出するために、ステップ(b)における細胞核紫外線吸光度が使用される方法である。
0239
9.8に記載の方法は、
倍数性状態又は細胞核DNA含有量における、2価から少なくとも10%はずれた偏差が、癌性の細胞を示している方法である。
0240
10.8に記載の方法は、
1.8から2.2という倍数性状態又は細胞核DNA含有量が近二倍体の状態を示し、3.6から4.4という倍数性状態又は細胞核DNA含有量が近四倍体の状態を示し、さらに、これらの範囲外にある倍数性状態又は細胞核DNA含有量がX倍体の状態を示している方法である。
0241
実施形態2−特定の態様
1.少なくとも1つの生物学的試料内に存在する少なくとも1つの細胞における細胞核の二重鎖核酸の量を決定する方法であって、当該方法は:
(a)前記少なくとも1つの細胞内にある二重鎖核酸と相互作用することができる少なくとも1つの蛍光マーカーに前記少なくとも1つの細胞を接触させるステップ;
(b)適した光源を用いた励起により得られる信号によって、二重鎖核酸に結合している前記少なくとも1つの蛍光マーカーの信号強度を決定するステップ;
(c)位相差顕微鏡法により、前記少なくとも1つの細胞内の核の位置及び/又は大きさを決定するステップ;
(d)ステップ(b)で得られた信号強度をステップ(c)で得られた核の位置及び/又は大きさと相関させることにより、細胞核の二重鎖核酸に結合している蛍光マーカーの細胞核信号強度を決定するステップ;
を含む。
0242
2.1に記載の方法は、
前記少なくとも1つの生物学的試料内の少なくとも1つの推測上癌性の細胞を検出するために使用される方法である。
0243
3.2に記載の方法は、
ステップ(d)で得られた信号強度を、同様に請求項1のステップ(a)から(d)を用いて得られた非癌性の細胞の細胞核信号強度と比較することによって細胞の細胞核DNA含有量又は倍数性状態を算出するために、ステップ(d)で得られた細胞核信号強度が使用される方法である。
0244
4.1に記載の方法は、
倍数性状態又は細胞核DNA含有量における、2価又は4価からの少なくとも10%の偏差が、癌性の細胞を示している方法である。
0245
5.4に記載の方法は、
1.8から2.2という倍数性状態又は細胞核DNA含有量が近二倍体の状態を示し、3.6から4.4という倍数性状態又は細胞核DNA含有量が近四倍体の状態を示し、さらに、これらの範囲外にある倍数性状態又は細胞核DNA含有量がX倍体の状態を示している方法である。
0246
6.2に記載の方法は、
前記少なくとも1つの癌性の細胞が、白血病、リンパ腫、脳癌、脳脊髄の癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、子宮頸癌、子宮癌、卵巣癌、腎臓癌、口腔癌、咽喉癌、食道癌、肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、及びメラノーマを含めた群から選択される癌に関連づけられる方法である。
0247
7.1に記載の方法は、
前記生物学的試料が、骨髄細胞、リンパ節細胞、粘膜試料、末梢血、脳脊髄液、尿、浸出液、穿刺吸引液、末梢血擦過物、皮膚擦過物、パラフィン包埋組織、並びに、凍結切片を含めた群から選択される方法である。
0248
8.1に記載の方法は、
前記蛍光マーカーが、DNAの主溝又は副溝に結合した薬剤、4',6'−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)、ヨウ化プロピジウム(PI)、臭化エチジウム、SYBR green、SYTOX Blue、SYTOX Green、SYTOX Orange、POP−1、BOBO−1、YOYO−1、TOTO−1、JOJO−1、POPO−2、LOLO−1、BOBO−1、YOYO−3、TOTO−3、PO−PRO−1、BO−PRO−1、TO−PRO−1、JO−PRO−1、PO−PRO−3、LO−PRO−1、BO−PRO−3、YO−PRO−3、TO−PRO−3、TO−PRO−5、SYTO 40 blue−蛍光核酸染色、SYTO 41 blue−蛍光核酸染色、SYTO 42 blue−蛍光核酸染色、SYTO 43 blue−蛍光核酸染色、SYTO 44 blue−蛍光核酸染色、SYTO 45 blue−蛍光核酸染色、SYTO 9 green−蛍光核酸染色、SYTO 10 green−蛍光核酸染色、SYTO 11 green−蛍光核酸染色、SYTO 12 green−蛍光核酸染色、SYTO 13 green−蛍光核酸染色、SYTO 14 green−蛍光核酸染色、SYTO 15 green−蛍光核酸染色、SYTO 16 green−蛍光核酸染色、SYTO 20 green−蛍光核酸染色、SYTO 21 green−蛍光核酸染色、SYTO 22 green−蛍光核酸染色、SYTO 23 green−蛍光核酸染色、SYTO 24 green−蛍光核酸染色、SYTO 25 green−蛍光核酸染色、SYTO 26 green−蛍光核酸染色、SYTO 27 green−蛍光核酸染色、SYTO BC green−蛍光核酸染色、SYTO 80 orange−蛍光核酸染色、SYTO 81 orange−蛍光核酸染色、SYTO 82 orange−蛍光核酸染色、SYTO 83 orange−蛍光核酸染色、SYTO 84 orange−蛍光核酸染色、SYTO 85 orange−蛍光核酸染色、SYTO 86 orange−蛍光核酸染色、SYTO 17 red−蛍光核酸染色、SYTO 59 red−蛍光核酸染色、SYTO 61 red−蛍光核酸染色、SYTO 17 red−蛍光核酸染色、SYTO 62 red−蛍光核酸染色、SYTO 63 red−蛍光核酸染色、SYTO 64 red−蛍光核酸染色、アクリジンホモダイマー、アクリジンオレンジ、7−AAD(7−アミノ−アクチノマイシンD)、アクチノマイシンD、ACMA、DAPI、ジヒドロエチジウム、臭化エチジウム、エチジウムホモダイマー−1(EthD−1)、エチジウムホモダイマー−2(EthD−2)、エチジウムモノアジド、ヨウ化ヘキシジウム、ヘキスト33258(ビスベンズイミド)、ヘキスト33342、ヘキスト34580、ヒドロキシスチルバミジン、LDS 751、及び、Nuclear yellowを含めた群から選択される方法である。
0249
9.1に記載の方法は、
前記蛍光マーカーの臭化エチジウムが、生物学的なブラシ生検用試料内の口腔上皮癌と関連した癌性の細胞を検出するために使用される方法である。
0250
10.ヒト又は動物の対象における癌を診断及び/又は予測する方法に関し、当該方法は:
(a)生物学的試料を前記対象から得るステップ;
(b)前記対象の体外で、前記少なくとも1つの細胞内にある二重鎖核酸と相互作用することができる少なくとも1つの蛍光マーカーに前記少なくとも1つの細胞を接触させるステップ;
(c)適した光源を用いた励起により得られる信号によって、二重鎖核酸に結合している前記少なくとも1つの蛍光マーカーの信号強度を決定するステップ;
(d)位相差顕微鏡法により、前記少なくとも1つの細胞内の核の位置及び/又は大きさを決定するステップ;
(e)ステップ(c)で得られた信号強度をステップ(d)で得られた核の位置及び/又は大きさと相関させることにより、細胞核の二重鎖核酸に結合している蛍光マーカーの細胞核信号強度を決定するステップ;
(f)ステップ(e)で得られた細胞核信号強度から、前記少なくとも1つの細胞の倍数性状態を算出するステップ;
(g)前記倍数性状態に応じて、癌の存在又は今後起こりそうな癌の発生を決定するステップ;
を含む。
0251
以下において、本発明は、特定の実験的な例を考慮して例示される。しかし、これらの実施例は、決して本発明をその範囲に関して限定するよう意味しているのではなく、その例証的な実施形態のうちいくつかにより本発明を例示するよう提供されている。
実験
実験1−半固定された細胞に対するDNAイメージサイトメトリー測定
第1のステップにおいて、試料は、例えばブラシ生検によって手に入れることができる(図3を参照)。
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0252
第2のステップにおいて、次に、例えばPBS(pH7.4)等の生理的なバッファーを用いて試料採取単位を洗い流すことにより、細胞が前記ブラシから溶出される。
0253
第3のステップにおいて、Triton X−100のような穏やかに作用する界面活性剤の添加により、前記細胞を染色に対して浸透性にすることができる。この目的のために、例えばPBS(pH7.4)、0.05%(w/v)Triton X−100を含んだバッファーを使用することができる。(半)固定された細胞への取り組みの場合、浮遊細胞を顕微鏡スライドに適用し、不動化のために乾燥させることができる。
0254
次のステップにおいて、例えば、300から600nmの波長を放出するLEICA EL6000光源で前記顕微鏡スライドを照射することによって、次に蛍光測定を行うことができる。例えば、450nmの光源を使用することができる。
0255
前記細胞中を走査することにより、核の位置を決定することができる。
0256
次に、Qimaging Regita 2000R FASTCooled Mono 12−bitカメラ装置(www.qimaging.com)を用いて細胞核紫外線吸光度を記録することができる。
0257
この細胞核紫外線吸光度を、同一の条件下で得られた非癌性であると知られる細胞のDNA含有量と比較した場合、検査中の細胞の倍数性状態を算出し、前記細胞が癌を発生しそうかどうかを決定することができる。
0258
実験2−半固定された細胞に対するDNAイメージサイトメトリー測定
第1のステップにおいて、試料は、例えばブラシ生検によって手に入れることができる(図3を参照)。
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0259
第2のステップにおいて、次に、例えばPBS(pH7.4)等の生理的なバッファーを用いて試料採取単位を洗い流すことにより、細胞が前記ブラシから溶出される。
0260
第3のステップにおいて、Triton X−100のような穏やかに作用する界面活性剤の添加により、前記細胞を染色に対して浸透性にすることができる。この目的のために、例えばPBS(pH7.4)、0.05%(w/v)Triton X−100を含んだバッファーを使用することができる。(半)固定された細胞への取り組みの場合、浮遊細胞を顕微鏡スライドに適用し、不動化のために乾燥させることができる。
0261
次に、臭化エチジウム等の蛍光挿入染料の添加により、細胞DNAを染色することができる。この蛍光染料及び他の多くの蛍光染料は、DNAに結合した場合にはるかに強い蛍光を有するので、遊離の染料を洗い流す必要がない場合がある。しかし、SB比を改善することが可能な場合に、洗浄を行うことができる。
0262
次のステップにおいて、例えば、300から600nmの波長を放出するLEICA EL6000光源で前記顕微鏡スライドを照射することによって、次に蛍光測定を行うことができる。例えば、488nmの光源を使用することができる(図6を参照)。
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0263
次に、Qimaging Regita 2000R FASTCooled Mono 12−bitカメラ装置(www.qimaging.com)を用いて放出された蛍光信号を記録することができる。
0264
別のステップにおいて、次に、核の位置及び/又は大きさを同定するために、位相差顕微鏡法の下で同じ試料を記録することができる(図7を参照)。
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0265
さらなるステップにおいて、蛍光及び位相差顕微鏡法により得られた画像はマージされるので、核から生じた蛍光信号のみが記録される(図7を参照)。
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0266
この信号を、同一の条件下で得られた非癌性であると知られる細胞のDNA含有量と比較した場合、検査中の細胞の倍数性状態を算出し、前記細胞が癌を発生しそうかどうかを決定することができる。
0267
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