もっとも単純なカルボン酸
もっとも単純なカルボン酸はギ酸です。
先日の懇親会の時に酢酸と言ってしまいましたが、思いっきり間違いです。
どなたが指摘してくださったのかわかりませんが、申し訳ありませんでした。
# 何一ついいわけできねぇ……
カルボキシル基(COOH)を持つ化合物をカルボン酸といいますが、カルボキシル基に水素(H)が直接結合したものがギ酸(HCOOH)です。
カルボキシル基にメチル基(CH3)がくっつくと酢酸(CH3COOH)になります。
従って、ギ酸の方が酢酸よりも単純なカルボン酸です。
これだけだとエントリとして寂しいので、ギ酸をネタに一つ。
同様の出生チャートを共有する人々
ギ酸は蟻酸と書きますが、その名の通りアリから発見された酸です。
蟻塚から酸性の蒸気が出ていたので、アリを蒸留してみたら得られたそうです。
工業的には様々な用途がありますが、最近の研究でギ酸を使って水素を運搬する方法が提唱されましたのでご紹介します。
二酸化炭素を一切出さないクリーンな次世代燃料として、水素は重要な位置を占めています。
水素と酸素を反応させて電力を得る燃料電池はもちろん、水素を直接燃やす水素ロータリーエンジンも開発されています。
# マツダのRX-8ハイドロジェンREなど
USP 、NFは何の略ですか
しかし、水素は貯蔵が非常に難しい物質です。
液体水素は温度が非常に低いため、大がかりな貯蔵施設が必要になります。
かといって気体状態では体積が液体状態の1000倍以上に増えますので、どんなに圧縮しても少量しか運ぶことができません。
# 実用的なタンクでは、せいぜい10気圧程度までしか耐えられない
ところで液体を高温高圧にすると、液体と気体の区別がつかなくなる「超臨界」という状態になります。
水の場合は 374℃、220気圧以上で超臨界状態になりますが、このあたりの領域の水(H2O)に一酸化炭素(CO)を加えると、ギ酸(HCOOH)が生成することがわかりました。
さらに温度と圧力の条件を変えると、今度はギ酸(HCOOH)を二酸化炭素(CO2)と水素(H2)に分解することができます。
グローバリゼーションの肯定的な問題&B負の問題は何ですか
ギ酸は常温で液体ですから、貯蔵に大がかりな施設は必要ありません。
また、タンクローリーで運ぶこともできます。
ということはギ酸を化学的な水素タンクに見立てることで、水素の貯蔵や運搬の問題が一気に解決する可能性が出てきたわけです。
しかしギ酸は人体に刺激性が強く、保護衣を着用することが推奨されています。
製品データシートには「強酸性水溶液であり、目や皮膚に付着すると腐食・刺激性を示し、甚だしい場合は、失明することがある」とありますので、気軽に扱える物質ではありません。
従って実際に使用できるようになるにはまだまだ長い道のりが必要ですが、将来が楽しみな研究だと思います。
0 コメント:
コメントを投稿